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好きな仕事を追い求めることよりも、いまの仕事を好きになる方法

僕が代表を務めるクエストリーでは「ミッションを掲げ、その実現を目指す」中小企業のネットワーク「ブランディングクラブ」を主催しています。業種、業態、規模、エリアが異なる独自性のある企業が加盟しています。

本稿はクラブ会員向けに毎週配信している「ブランディングレポート」の1052号(2022年11月14日配信)を一般向けにアレンジしたものです。ミッション経営に取り組む経営者のご参考になればと思い、公開します。

自ら課題を発見し、問いを立て、自分にとっての正解を導き出す

変化のスピードが速く、将来予測が困難な時代です。「グローバリゼーションの弊害」「日々増大する情報量」「日本が先行する成熟消費」「急速なデジタルシフト」「気候変動」など変化の要因を挙げたらきりがない。

予測できないことで悩んでも仕方ありません。大事なのは変化との向き合い方。「固定的な思考に縛られない」「自ら課題を見つけ、問いを立てる」「自分にとっての正解を導き出す」、この3つが向き合い方の基本です。

不確実性の高い時代の経営の基軸は「ミッション」です。ミッションを軸として、先ほどの3つを実践することで向かうべきが見えてきます。今回はミッション経営のシナリオとして、「仕事を好きになる」を解説します。

父親にいわれて店に入ったけれども、好きな仕事ではない

かつて、取引先の一社に北陸の卸業がありました。その頃の仕事は販売促進でしたが、いろいろなことを相談されました。あるとき営業の方から、「同行して欲しい店がある」といわれたのです。

店に向かう車のなかで理由を尋ねると「息子さんが入ったが、やる気がないので話を聞いてあげて欲しい」。要はハッパを掛けて欲しい的なことです。事情に詳しいわけではないので、困ったなあと思っているうちに到着。

息子さんを紹介され、世間話をしているうちに、唐突に彼から出たのは「父親にいわれて店に入ったけど、好きな仕事ではない」。こうなるとこちらの出番はありません。営業の方の期待には応えられずに店を後にしました。

出口治明さんの答えは、「いまの仕事を一生懸命やりなさい」

「好きな仕事だけをしたい」「好きな仕事ではないのでやる気が出ない」、時折こういう言葉を耳にします。そのたびにモヤモヤした違和感を覚えます。もちろん好きな仕事をすることに反対しているわけではありません。

この違和感が解消できたのは出口治明さん(立命館アジア太平洋大学・学長)の一言でした。2017年に小林せかいさん(未来食堂・店主)と当時はライフネット生命保険の会長だった出口さんの対談イベントに参加しました。

一人の参加者が質問しました。「いまの仕事が好きではないのですが、やりたいことが見つかりません。どうしたらいいでしょうか」。すると出口さんは間髪入れずに「いまの仕事を一生懸命やりなさい」と即答したのです。

「誰かのために」「何かのために」といった目的で仕事を考える

好きな仕事を追い求める人は、いまの仕事を好きになることに気づきません。もっというと、好きになるポイントを知らない。そのポイントは「誰かのために」「何かのために」といった目的で仕事を考えることです。

ミッションは「自社が目指している在るべき姿」を成文化したものであり、必ず事業の目的が含まれています。ということは、「事業の目的」を好きになるのが、仕事を好きになることにつながると思うのです。

「いまの仕事が好きですか」という質問に、即座に「はい!」と答えられる人は幸せです。その幸せはお客さまに伝わります。あのときにこの話しができたらと思うのですが、こちらも考えが足りなかったからなあ。

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