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中小企業は情報処理ではなく、情報編集だ

大阪出張でホテルに泊まったときのこと。10時から仕事でしたが、天気は雨。雨の御堂筋(御堂筋ではないけど)という歌を思い出しながら、ちょっと困った。僕は傘を持っていたけど、同行の社員は持っていないのです。

チェックアウト後にどうしようかと相談していたら、「フロントで傘を貸してもらえないか聞いてきます」とのこと。「借りるってもうホテルには戻って来ないよ」と思ったのですが・・・。

しばらくすると傘を持って戻ってきました。実は年配のスタッフにはチェックアウト後の貸出しはできないと断られたのですが、若い女性スタッフが、「古い傘ですが、これをどうぞ」と見えないように渡してくれたとのこと。

頼まれてもいないことをしっかりとこなす力

頼まれたことをきちんとこなすのが情報処理です。要求や要望にきちんと対応するのですから、相手は納得します(あるいは納得せざるを得ません)。でも、これは見方を変えれば「可もなく不可もなく」の対応です。

それでは「情報編集」とは何でしょうか(やっと本題です)。「ルールでは傘を貸せない、でも雨で困っている、そうだお客さんの忘れていった古い傘があったはず」・・ホテルの方がこう考えたかどうかはわかりません。

情報編集とは「できないことでも、いまある条件を活かし、相手の立場に立って発想すること」です。ダメもとと思っているこちらに「貸すことはできないけど、古い傘なら差し上げられる」、こういう発想が情報編集です。

「驚きと満足」が積み重なるとファンが生まれます

情報処理は「可もなく不可もなく」(誤解がないように、これはこれですごいことです)という反応ですが、情報編集は期待を越えた「驚きと喜び」につながります。当然、満足度は高まり、相手には記憶として残ります。

日本では技術革新と訳されることが多い「イノベーション」の本来の意味は、「異質なものを組み合わせて新しい価値を生み出す」こと。同様に情報編集も「異なるものごとを結びつける」発想と行動です。

異なるものごとを、一つの目的に向かってつなぎ合わせ、「一般的な正解」を修正していく・・・中小企業が本来持っているこの強さを、「情報編集」に進化させていくことが、中小企業が生き残る道だと思うのです。


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