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孫を思う心が安全で楽しい知育玩具を生む話

ノシリス開発ストーリー

〔開発の背景〕 

「nocilis」は、孫を思う、子どもを思うデザイナーの気持ちから、誕生しました。


子どもがブロック遊びに夢中になり高く積み上げると、そのうち「ガラガラ」と大きな音。

崩れる際に頭にあたったと大泣く。

マンションでは階下への騒音も気になる。

時々、投げたりもする。

散らかしているブロックを踏んですべりそうになること、積木をなめたり噛んだりするが衛生的に保つことが難しいのが悩みと聴くと母娘から聞く。

そんな悩みを聴いている時にシリコーンに出会った。

柔らかく人肌に近い、ぬくもりのある手触り。そして医療品にもつかわれる安全性の高さがアイデアをくすぐった。

なによりも柔軟性と反発力は今までにない初めての出会いであった。

これを使えって、かわいい孫にプレゼントできるのではないか。

こどもの創造性を刺激する玩具をつくれば喜ぶ顔が見れるのではないかと調査をすすめた。

「ダメ」という言葉

〔創造力を疎外するのは大人の「ダメ」という言葉〕 

おとなは、すぐに「危ないから」「迷惑がかかるから」と子どもの能動的な活動を制止することをシガチであること知った。

感性豊かに育つには、子ども自身の心が能動的に活動できる環境づくりが必要と学んだ。

五感によい情報を与えること。子どもの自立を促す環境が必要という。


nocilisと触れることは、なぜ子どもの成長に有効なのか

 幼児の行為は全てその無償性において遊び考えられる。その行為は自分以外と関わることから始まる。

自分以外ということは大きくいえば環境、具体的にいえば母親や身の回りにあるものということになる。

手を自由に動かすことができるようになり、手あたり次第につかみ、口に入れたり触ったりする行為をする。 

これを探索活動と呼ぶが、この活動によってものとの関わりが始まるのである。この行為は自分以外と自ら動いて、初めて関わることになる。

手で触るより口に含んで確かめることが多いので、不必要なものにまで関わることがあり誤飲事故も起こる。

そのような危険もあるが、この探索活動を行わないと生きていく力も付かない。

それは自分の周りと関わらなければ食べるものも獲得できないし、自分自身をどのように守ったよいか判断する力も付かないからである。

このようにものと関わる行為は非常に重要なのである。


探索活動は口に入れる、触るなどの活動が主になるが、これらの行為はものを理解することが一番の目的である。

大人の場合は言葉とものがあることによって理解していくが、言葉が発達していない状況では手当たり次第の触れる経験がもの理解の基本になる。 
将来言葉を十分獲得して理解が完全になるための基礎を作るのである。

私たちは「机」という言葉を聞いて堅い板を想像する

例えば私たちは「机」という言葉を聞いて堅い板を想像するが、この堅さを理解しているのは、幼児の時期に知らず知らずの間に机に触れ、理解を深めてきたという経緯があるからなのである。

見ればわかると大人は考えるが、これも無意識に触れ理解を深めてきたからこそ見るだけで想像ができるようになったのである。

 このように探索活動は非常に重要な活動の始まりである。そしてもう一つ重要なことは、この探索活動は操作活動をともなってくる点である。 

操作活動はものを操作することであるが、初期的にはたたく、破る、投げるなどものと関わるときの行為がそれに当る。

この行為はかなり大雑把な感じを受ける行為なので、無意味な破壊的活動のように感じられが、道具を使う、ものを加工するという人間の本質的な性質の中でも、最も基礎的な部分の発達の始まりを告げている。

この操作活動を十分に体験して身体がよく動くようにすることは人間の必要条件にもなるのである。

 子どもの感覚のありかたについて考えてみたいと思う。それは成長と密接に関係するからである。一般的には視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚の5つの感覚を五感と称しているが、ここではそれをもう少し詳しく分類したいと思う。

 特殊感覚−視覚、聴覚、臭覚、味覚 平衡感覚(大脳系)
体性感覚−表面感覚−触覚、識別触覚、圧覚、温度受容性感覚、痛覚、位置覚、振動覚(大脳、脊髄系)
    −深部感覚−筋、腱、関節の感覚(大脳、脊髄系)
内蔵感覚−内蔵感覚、内蔵痛覚(深部感覚)

以上のように大きくは3つ、細かくは15に分類している。大人でよく使われる視覚や聴覚は特殊感覚という分類に入っておりこれは大脳で全て処理をする感覚である。完成は青年期以降とされている。
この感覚は非常に便利なので、大人ではよく使われる感覚でもある。

 体性感覚は大脳と脊髄で処理される感覚である。これは普段は大脳で判断するが、緊急を要する場合は脊髄(反射)でも判断することができる。

熱さ、寒さ、痛みなど、この感覚は生命を維持するための基本的力を備えた感覚で、特殊感覚に障害があっても生存できるのに対して、体性感覚に障害を持つと生命の維持が難しくなる。

これらの感覚は生後すぐにでも活発に働いており、九歳ぐらいで完成するといわれている。

 この中で幼児を理解するために注目しておきたいのが体性感覚である。体性感覚は生命を維持する感覚であるといったが、もう一つ大きな役割を持っている。それは特殊感覚と内臓感覚をつなぐ役割を持っている点である。

これは言いかえると感覚を一つにまとめるということになる。各感覚が身体の中で連携しまとまっていなければ目的に応じた身体コントロールを失ってしまう。

 感覚は体性感覚を先導役にして、視聴覚等も完成へと導くと考えられる。そのことから考えるならば、乳幼児の関わりの基本は体性感覚主導型であると考えられる。

大人が視聴覚という特殊感覚優位なのに比べると大きな対照がある。

大人が自分自身をみても幼児のことがわからないのは、この感覚のあり方の違いのためであると考えられる。

これらのことから、乳幼児の活動は大人が考えるような視覚に頼った行為ではなく、触覚に代表される体性感覚を主に使った活動を行うと考えられる。

乳幼児の活動は直接ものと触れる、体験するような活動が重要になってくる。発達すべき感覚を自ら使う行為であるから、教えなくても行うし、特殊なものではなく必要として行われるものと理解されなくてはならない。

これらのことからnocilisはシリコンという、安全かつ人肌の柔らかさを再現できる素材を使った画期的な玩具見える。子どもはこの人肌であるnocilisを触れて自由かつ安心を得て遊びに熱中することだと考える。

【推薦コメント】 関西学院大学 教育学部  教授 清原 知ニ


開発秘話〔こどもがひっくりかえせて尚且つ積める硬さを〕

開発で一番苦労したのは、ひっくり返す前と後とで「カタチ」がイメージできるものを探すこと。CAD上で色々とシミュレーションしながらデザインをしていった。

そしてカタチができたら試作。

子どもがひっくりかえせる硬さで扱いやすい大きさ。そしてなお且つ、積み上げてブロックとしても使える硬さと厚みを探すこと。何種類か作ってテストを重ね、最後に現在の硬さと厚みへ。

四角-チョウ はひっくりかえしやすく、三角-クローバーはすこし力がいる硬さにと「できた!」の感動を味わえるように設計した。

〔特許取得!〕 平成22年4月 特許取得!
表と裏をひっくりかえし、カタチの変化する新規性が認められ、特許を取得した。

「デザインは技術と文化の架け橋」
有限会社アイ・シー・アイデザイン研究所は、筆者・飯田吉秋によって、1985年8月に大阪府守口市に設立された。アイ・シー・アイ(ICI)という社名には、ICIの持つ良い情報を積極的に提供(information)し、企業との出会いや交流を大切に(communication)、交流した企業と問題を共有し、創造的、革新的に、新しい時代をつくる活動をおこなう(innovation)という想いが込められている。

設計からデザイン・コンサルティングまで、広くデザイン関連業務を業務内容としている。ノシリスは、未来を担う子どものために最適な知育玩具は何なのか、それをデザインと教育という観点から慎重に検討を重ねた結果生まれた製品である。
                             
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