転機とボランティア。そして、好転する介護士としての人生。
随分とお久しぶりの投稿になります。
このコロナ禍、オリンピックにお盆や連休にて、沢山の人が国も県も越えて入り混じり、陽性反応の過去最多を更新し続けている昨今ですが、皆さんお元気にお過ごしでしょうか?
地元でも勿論、陽性者は過去最多となり、緊急事態に蔓延防止まで出され、住まいの市町村から出ることもままならなくなり、海のキレイな大月町まで、甥を初めてのキャンプに連れて行ってあげようとしていた予定もキャンセル 、
( 聞けばそのキャンプ場、予約の半数以上は関西からの客ということ。県外にいる人間にウイルスを撒き散らしに来られた挙句、自粛を余儀なくされる地元の人間を他所目に、果たして、この事態でもその人達は関西からわざわざ高知の端っこまでキャンプをしにくるのだろうか。
このような最中、コロナが蔓延している地域の人間を受け入れるキャンプ場のスタンスにも大いに問題はあるが、受け入れざるを得ない状況下におき、波が来る毎に感染者数を増やす日本の政治の無能さにこそ、問題がある )
随分と降り続いた雨と、コロナ蔓延で夏の思い出もまともに作ってあげれないことが本当に悔しく、また、ウイルスを撒き散らしに来た、来る人達に対しては、最高に腹立たしくもある。
最早、身の回りで気をつけ合いましょうと言うほか手立てはない気がしますが、今のところ、僕や周りの方々は元気に過ごせています。
さて、前置きが長くなりましたが、この8月は少し転機的な時期を迎えており、その点を踏まえながら近況報告的に、その中で感じたことなどの投稿をしてみたいと思います。
現在、僕は介護の仕事をしており、この8月で6年目を迎えることとなった。
これまでの5年間は、理学療法士等セラピストがリハビリを行うことを売りにしたデイサービスで働き、そのデイサービスが僕にとって初めての介護の仕事だった。
そして、僕なりに真剣に取り組むうちに、もっと「介護」というものを掘り下げていきたいという気持ちが強くなり、その為には他の現場も見てみる必要性があると思うようになった。
そして、昨年、夜間の学校に通い、介護福祉士になる為に必要な実務者研修を修了し、今春試験に合格、転職に必要な切符を手にした。
( 切符とはいえ、資格を取る為の勉強は決して無駄なものではなく、介護というものを知るにあたって、大いにプラスとなる経験だった )
他の現場に就くにあたっては、事業所によって介護に対する考えや、取り組み方の善し悪しは大きく変わってくるだろうから、それを見極めることは、何より一番重要なことだ。
ただ単に給料の為に働く訳ではないのだから。
そう思いながら、長らく探し続けていたところ、インターネットで、これは!と思える事業所を見つけることができた。
その事業所が打ち出す理念や、人材育成の姿勢は素晴らしく、ここしかないと思い切って体当たりしてみたところ、快く受け入れてくれ、9月から働かせていただける運びとなった。
そして、8月上旬で従事していたデイでの勤務を終え、一ヵ月間、有給消化をすることに。
普段はできない趣味の山登りをテント泊で、そしてキャンプ、などとの思いは巡ったが、遊んでばかりの自堕落極まりない生活を長くすることは耐えきれそうもなく、何かないかと考えた先に思いついたのがボランティアだ。
障害のある方も、街で観光や買い物などを自由に楽しんでもらえるようにといった、タウンモビリティというボランティア、
障害のある子どもが通うデイサービス、
高齢者の方が通うデイサービス、といった、3つのボランティアに参加する予定を立てた。
しかし、大きく膨らむ陽性者の数から高知も緊急事態となり、タウンモビリティと子どもさんのデイでのボランティアは残念ながら見送りとなった。
高齢者の方のデイサービスは、感染症への対策をしっかり取っていれば構わないとのことだったので、日頃より更に気をつけた行動を取りつつ、参加させていただくことにした。
この度、参加させていただくことになった、その施設は、高知市南竹島町にある「デイサービス せいきょう やまもも」さん。
ボランティア募集広告には「あなたが思う介護施設の常識がきっと変わります!!」と書かれており、ある程度の期待はしつつ伺いました。
が、しかし、蓋を開けてみれば期待以上!!
というのも、管理者であり、生活相談員、また介護福祉士でもある田副 (たぞえ) 大輔さんが、とても素晴らしい方だったのです。
"介護という仕事は、食事、排泄、入浴の支援を行う、いわゆる「三大介護」だけではなく、出来ることはもっとあり、介護に対する考え方はもっと広くあるべきだ。その一般的な捉えられ方の「縛り」を取り払っていきたい"
"「地域密着」とはいうけれど、「施設内」だけで完結している事業所が大半だろう。それではダメだし、本当の意味で地域に密着できる為に必要なことを考え、行動を起こしている"
"デイサービスは「在宅」での生活支援を行う場所。だから、在宅での生活を終生送れるための最期の砦でありたいし、そうあるべきだ"
( 実際、自分の家で最後を迎えたいと願った方を、最後までデイで支援し、お看取りしたこともあるそうです。デイでの看取りには賛否両論あったようですが、何よりもご本人と家族の望みを叶えてあげることに力を尽くしたいといわれる姿勢には、只々、頭が下がる思いです )
"支援の必要な方は「できない」ことに大きく着目をされがちだが、そうではなく「できること」に着目し、その人の好きなことや得意なこと、そして、思いを大切にしながら、その人が「今、できること」を伸ばしていくべきだ"
( この点については、今「注文を間違える料理店」でも注目されている 和田行男氏 曰く、
「出来ることを探すな。出来ないことを探せ。
出来ることを探していれば、出来るところにしか視点がいかなくなる。
出来ないことを突き詰めていけば、他のことは全部、出来る可能性をもっている。
その可能性にかけることが、私達の支援というものではないか」
といった視点もあり、それもまたそうなのだろうとも思います。介護って本当奥が深い… )
"支援して行く為に必要な計画であるケアプランは、ケアマネージャーが作成したものにただ従順に従うのではなく、変えるべき必要性を現場から感じるあることがあれば訴えていき、その人の残された人生を充実させ、より良くしていくことを怠らない"
などなど他にも様々、利用者さんへの支援に対する考え、起こす行動は真剣そのものであり、本当に素晴らしいと思えるものばかりだ。
僕が介護の仕事をする上で、その考えなどを手本にしたく、いつか見学にも行きたいと思っている「あおいけあ」さんという事業所が神奈川県にあるのだが、その事業所の代表、加藤忠相さんの考え方にも似ている部分が多々あり、突き詰めて辿り着く先は、やはり同じなのだと感激すら憶える気持ちになっています。
高知にもこんな施設があったんだ、こんな方がいたのだと。
また、中国残留邦人の帰国者の方を多く受け入れられていることも、このデイの大きな特徴ですが、その点について詳しくは下記のリンクを覗いてみて下さい。
"平等な介護を実現する! 中国帰国者の利用者とともに 高知・デイサービス せいきょう やまもも - 全日本民医連"
https://www.min-iren.gr.jp/?p=37468
写真は参加初日、誕生日であった利用者さんが、カツオを藁焼きでタタキにしている風景。
( 漫画 クローズから飛び出してきそうな茶髪のお兄さんが田副さん。人は見かけによらない、その良い例かもしれません 笑)
一見危なくもみえますが、こんなことを利用者さんにしていただくのも全然ありで、施設での一日も、ご飯を皆んなで分担して作ったり、洗濯を干したり片付けたり、アイロン掛けや掃除、針仕事から包丁研ぎまで、皆それぞれできることをやり、一日忙しく過ごしています。
( よく働き、動いて、よく食べる、そんな一日を過ごすやまももの皆さん。眠剤や下剤を飲む必要が無くなるというのも納得なのです )
これまでしてきた、「おもてなし」とは真逆の「自立支援」をする介護の仕事。
利用者さんに作ってもらったご飯を食べ、伝える「ごちそうさま」と「ありがとう」。
その言葉の裏側に含まれる意味は大きい。
きっとその言葉が、その人にとって「尊厳の保持」へとつながるはずだから。
仕事を辞め、ボランティアをすることになり、雨やコロナでキャンプや他のボランティアはダメになった。
しかし、やまももさん一本でボランティアができることとなったこの流れ、これって何かのお導きかなとも思ったり。
今のところボランティアの参加は6日間。
転機として、本腰をいれていくのは来月からだけど、それまで出来るだけ参加して、目一杯、勉強し、楽しめたらと思います。
写真は、田副さんが介護の仕事をする上で、その「拠り所」となっているという、介護保険法の第一条の条文、その文言が職員室の入り口にかけられているもの。
( 向かって右側は中国語で書かれたものです )
前述した、加藤忠相さんも、介護保険法の第2条 二項 『保険給付は、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう行われる』 という条文を持ち出し、
「私達は介護保険の理念、つまり介護保険法に従わなければならないが、実はそこには「自立支援」が書かれている。
介護保険や税からお金を貰って働くならば、『軽減』または『防止』を目指さなければならない」ということを仰っています。
田副さんの場合、一条の赤字で強調してある 『これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活が営めるよう』 といった文言を捉え、それを拠り所にし、地域の方々に寄り添って日々懸命になられている。
介護の仕事をする、その「理由」と「根拠」を突き詰めていけば、結局、行き着く場所は同じなのだ。
凄いと思える事業所等のその支援の内容、やり方って、介護の参考書などを読んでみれば、「普通に書かれている」ことを大切にし、実践しているだけだったりするんですよね。
だから、その方達は「当たり前」のことをやっているだけだって言うんです。
その当たり前が出来なかったり、考えることや、思いつきもしない事業所や支援者の方が遥かに多いのが現状だったりする。
悲しいかな…。
もし、次が決まってなければ、いいものを持っているからここで働いてもらいたかったと田副さんから言ってもらえたり、他のスタッフさんからは、次の所はキャンセルして…(笑)、とも仰っていただいたり…。
もし、次が決まってなければ、働かさせていただいたのかもしれないと、残念に思う気持ちもありますが、そうもいきません。
しかし、田副さんもいうように、介護の世界は、その事業所内で完結すべきではないと思いますから、次の場所に行っても、田副さんをはじめ、やまももさんとのパイプは繋げておけたらいいなと思います。
高知市付近で、介護の仕事をしている方や、してみたいと思っている方へ。
もし、介護という仕事に真摯に向き合ってみたいと思っている方がいらっしゃり、どこか良い事業所を探しているようならば、
「デイサービスせいきょう やまもも」
で、一度働いてみれば、間違いないのではと僕は思っています。
但し、全ては「教えては貰えない」かもしれません。自ら学び、考え、感じること。
それが多少なりと出来なければ、答えは何も出してはもらえないだろうし、出てこないのではないかと思います。
介護という仕事に答えはない。
だから、そういった意味においては、それはどこで働いても同じことかもしれません。
しかし、少しでも答えを探そうと、手探りを続けている事業所、支援者に巡りあえることの確率は相当低いことではないかと思います。
ここ、やまももはそういった点で、学びや気づきから、介護の可能性をどんどん広げていける場所ではないかと感じています。
ボランティアも随時募集されていますので、是非一度、遊びがてら気軽に訪れてみて下さい。
"こうちボランティア・NPO 情報システム ピッピネット 〜 高知医療生活協同組合デイサービスせいきょうやまもも"
https://www.pippikochi.or.jp/2021yamamomo.html
皆んなでつくって、皆んなで食べるご飯は最高に美味しいですよ。
今回、思い切って転機を迎える決断をして本当に良かったと感じていますが、次に働く事業所もきっとそう思えるはず。
ただ今は、仕事などで本当に凄いと思える人に身近で出会えることは中々あることじゃないし、奇跡にも近いことではないかと感謝すら感じている、そんな今日この頃を送っています。
最後に、当たり前のことですが、介護というものは、いずれ自分達も必ず世話になるものであるということを言っておきたい。
因果応報、自因自果など、自分のしたことは自分に返ってくるという言葉や法則を考えた時、介護ひとつ取ってみても、それは当てはまることだと思っています。
人を人として見ようとせず、何も考えずただ毎日淡々と【業務】をこなしていくだけの介護を、この業界の多くの者が続けていけば、未来に待っている自分を見つめる支援者の目と心は、それと「同じもの」であるのでしょう。
このようにいえば、いやらしくも聞こえるかもしれないが、自分達が支援を受ける側となる近い将来、介護、福祉の世界が、今よりも更に良いものになっているよう、力を尽くしていきたい、そのような思いも持ちながら、日々精進していきたいと思います。
あまりがんばりすぎると、自分諸共潰れてしまいそうだから、ほどほどに、ですけどね…(笑)
〜 おまけ〜 として、前述にて紹介した両氏、
日本の認知症ケアを切り拓いてきた第一人者である 和田行男さん、
今、世界からも注目されている「あおいけあ」の 加藤忠相さん、
このお二人は以前「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演されておりますが、そちらが「deilymotion 」にアップされていますので、未見の方は是非ご覧になってみて下さい。
介護の仕事に携わる人は必ず観て欲しいし、そうではない方も、自分達もいずれ何かの形で関わる世界、より多くの方がみて、あるべき介護とは何か?ということを感じ、考えていただける切っ掛けになれば嬉しく思います。
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