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人類は積みゲーを克服できるのか?(後編)


前編の振り返り:積みゲーは自然の摂理

2022年は追い切れないほど大量の良作が出てドエラかったなぁ…と思ってたら2023年も良作揃いで、嬉しい悲鳴の18toyaこと冬夜です!
皆様おはようございます、こんにちは、こんばんは^^

さて、前回は「人類は積みゲーを克服できるのか?」の前編という事で、
「人はなぜボードゲームを積んでしまうのか」について語ったところでした。

前回のお話を通じて、「ボードゲーマーがゲームを積んでしまうのは、水が高いところから低いところに流れるがごとく自然の摂理である」ことはご理解いただけたものと思います^ ^

少し時間が空いてしまいましたが、本記事では前編最後で話した通り、「自然現象である積みゲーを崩す方法は果たしてあるのか?」について語ってみましょう。

初っ端に最後の手段から語ってみる

思考の枠を狭めないために、いきなり最終手段について語ってみましょう。
それは「積みゲーを手放す」つまり譲渡または売却です。

おいおい!と思う人もいるでしょうが、考えてもみてください。遊んでもらうために生まれてきたゲーム達が遊ばれずに物置の片隅でひっそりと活躍の場を待ってる姿を…
しかし、いつ活躍させてあげられるかは分からないのだとしたら、たくさん遊んでくれる人の元に旅立つ事はむしろポジティブなのです!

一度買ったゲームを手放す事に抵抗がある人は少なくないでしょう。私も実際、まだ買ったゲームを手放した事は一度もありません。
しかし、私が持つより他の人が持つ事でゲームの潜在能力を120%解放できるのなら…と考えなくもありません。今はまだ実行に至ってない、それだけです。

最後はこの手段を取る事も念頭に入れれば、積みゲーを減らす事は確実にできるでしょう。
しかしもし貴方がこの方法に抵抗があるのなら、断固たる意思を持ってゲームの存在意義、つまり「遊ばれるために存在する」ゲーム達を、遊んで満たしてあげる必要があります!

世の中に絶対、と言う方法はありません。
が、人が人であるがゆえに積みゲーが生まれるのなら、解消法も見えてきます。
つまり、人が人であるその習性を利用して積みを崩す!コレで行ってみませんか?

その1:宣言効果

まずは「積みを崩す!」と公言してみるという方法があります。
有言実行、と言う言葉がありますが、人前で目標を宣言することにはどうやら心理的な効果があるようで。「みんなの前で言ってしまった以上、後には引けない」と覚悟が決まると言う効果。これにより効率も上昇するという説があるようです。

また、その宣言を見たり聞いたりした人が協力してくれる場合もあるため、崩し宣言は積みを崩す上で一つ有効な手段だと思います。
ソロゲーム以外のボードゲームが一緒に遊んでくれる人を必要とする以上、理解のあるゲーム仲間が、あなたが積みゲーを崩したがっている事を知ってくれることは大きな力になることは論を俟たないでしょう。

その2:目標設定理論

次に、上記「その1」を受けて「積みを崩すと宣言する」ことにした場合、どの程度の数を目標として宣言するか。
これについて考えるとき、アメリカの心理学者ロックが提唱した「目標設定理論」を参考にしたいと思います。

ロックいわく
1.目標を高く設定した方が、本人のパフォーマンスは向上する
2.具体的で明確な目標の方が曖昧な目標よりモチベーションが向上する
のだそうです。

つまり「宣言しておいて失敗したらカッコ悪いから目標はふんわり曖昧に言っておこう」と守りに入るより
「俺は50個の積みゲーを崩すぜ!」と数字で具体的に言った方が効果が高くなり本人の意欲も増す、と言うことのようです。

また、目標を明確に言うことで1の「宣言効果」も高まるでしょう。
一度やると言った以上はやってやるぜ!と言う自分の「カッコつけたい心理」をもエネルギーに変換するということです^^

その3:一貫性の原理

さて、積みゲーを崩すと本気で宣言したとします。
そうすると何故か新しいゲームを買うのに若干心理的な抵抗感を覚えるようになるのではないかと思います。

これは「人は態度をできるだけ一貫させたい」と言う習性によるもので、一貫性の原理と呼ばれます。
積みゲーを崩すと言ったのに、言ったそばから買うのはどうなのかね?
…と、内なる自分が語りかけてくる。まぁ、絶対に買わないぞ!まで思い込む必要はないと思いますが、目標を達成する(積みゲーを本気で崩したい)ことへの本気度があれば、目標を自ら遠ざけるようなものなので、以前より少しはブレーキがかかりやすくなるんじゃないかな?と思います。

その4:ザイオンス効果

さて、ゲームを崩す際に大事になってくるのは心のエネルギー。
「あのゲームを遊びたいな」というモチベーション。
これが必須です。
ゲームは楽しみのためにやるものであって、いかに積みを崩す事を目標にすると言っても流れ作業のようにこなしたくは無いですからね。

そこで「人はよく眼に触れるものに好意を抱く」と言うザイオンス効果を利用しましょう。つまり積みゲーをよく眼につく場所に置いておくのです。

よくよく考えると、我々はよく遊ぶゲーム、好きなゲームをよく見える場所、取りやすい場所に置いておきます。勿論悪いことではないんですが、特定のゲームのみへの愛情がどんどんと増していき、実際に遊んで楽しく、たくさん眼にするのでますます愛着が湧き…これでは積みゲーへの愛着が湧くスキがありません!
その間、積みゲーは奥に追いやられひっそりと佇んで、あなたは彼らの箱を普段眼にすることもありません。放っておく事に罪悪感を感じるとすれば、ますます眼にしたくない気持ちになってしまうかも?

そうなる前にザイオンス効果!隅っこにいる積みゲーさんたちを、日の目を見れる場所に移し替えてあげませんか?

その5:ジャムの法則

さて、ザイオンス効果を狙って積みゲーを眼に付くところに置いたとします。
さぁ、どのゲームから遊びましょう?
積みゲーを崩さないとな、と思うような人は、私のように80個くらい積みゲーがあるんじゃないですか?(異論は受け付けますw)

誓ってもいいですが、どれを遊ぼうか…と迷っているうちに、あなたはいつの間にかいつものロビンソン漂流記を棚から引っ張り出してることでしょう!(いいソロゲームなんですよね〜私も大好きです!)

なぜこんな事が起きるのか、それはあなたが悪いのではなく人間心理の必然なのです。

コロンビア大学のシーナ・アイエンガーという教授がこんな実験をしました。
被験者を2つのグループに分け、片方のグループには6種類のジャムを提供。
もう片方のグループには24種類のジャムを提供しました。
これらのグループの被験者達はどの程度の割合で試食をし、その結果購入に至ったかを調べたのです。

一見、選択肢が多い方が色々な人の好みに合ったものがあり購入は伸びそうに思えます。実際、試食に至った人は24種類のジャムのグループの方が多かったそうです。
しかし、試食をしたうち商品を購入した人は6種類のジャムのグループでは30%いたのに対し、24種類のジャムのグループはわずか3%しか居なかったそうです。

この実験結果から「多すぎる選択肢は必ずしも選択を容易にせず、むしろ選択肢が増えれば増えるほど選択行動が取れなくなる」という人間心理が判明しました。実験の題材がジャムだった事から、この人間心理は「ジャムの法則」と名付けられました。

ボードゲームに当てはめて考えてみましょう。
積みゲーがたくさんある、どのゲームから遊ぼうか…積みゲーが20、30とある人からすれば、これは上記のジャムの実験でいうところの「24種類のジャムを提示されたグループ」にいるようなものです。結局選択肢が多すぎることで選べなくなっているのです。

そうと分かれば、遊ぶゲームを絞ってみたらどうでしょう?
例えば、「今週崩したい6つのゲーム」のリストを先に作成し、その中から1つ2つを選択する。そうすれば、「6種類のジャムから選ぶグループの人」になれそうだと思いませんか?^^

その6:スモールステップの原理

しかし、その1その2で大きな目標を立てたのに週に1個や2個では先が思いやられるんじゃない?と思って上記の「ジャムの法則」の最後に書いた方法に懐疑的な方もいるかもしれません。

そんな方には「千里の道も一歩から」という言葉を捧げたいと思います。
なんとこの言葉、科学的にも実証されているんです!アメリカの心理学者スキナーが高度なプログラムを学生に習得してもらうために提唱した学習の手法は「小さなステップを繰り返し越えながら少しずつ難度を上げ、最終的には難しい言語のプログラミングも習得できる」というもので、「スモールステップ学習法」と名付けられました。この学習法の効果が実証されたことであっという間に世界に広まり、今や教育学においても主要な手法の一つとして定着しています。

スモールステップがもたらす心理的な好影響として「自己効力感の向上」があります。つまり「自分は問題解決のために有効な手立てを打てる」という、いわば自分への信頼感が増すということですね。この信頼感は、その後の積みゲー崩しの継続に大いに役立ってくれるでしょう。

という訳で、最後に達成したい目標がいかに大きくとも最初は小さな一歩で構わないのです。そこに悩むエネルギーがあれば、全て積み崩しに使いましょ!!笑

その7:ツァイガルニク効果

さて、スモールステップで小目標を作って次々クリアしつつ大きな目標に向かっていくと副産物としてこんな素敵な効果が!

その名は「ツァイガルニク効果」。
「人は完全に終わってしまったものより中途半端なものが気に掛かる」心理効果のことです。

これを積みゲー崩しに当てはめてみると、
「スモールステップでクリアしたゲームは『あー楽しかった!そして積み崩した!スッキリ!』とさらりと流せる。しかし大きな目標はまだ途中、そこが気になって仕方がない。次に崩すゲームは何にするかな、と考え始める。しかも自己効力感が高まっているので自分にはやれる!崩せる!と自信を持って臨める。
という積み崩しの好循環が!!多分、いや、きっとあるはずです!

という訳で積みゲー崩しの必勝手は「高めの目標を宣言+スモールステップ」で決まり!!

実践:実はやってますww

さて、上記してきた方法、さも理論から始まったように見せかけつつ、実は全て私の実践例だったりしますw

今年の1月30日に積みゲー71本を残り20本以下まで崩す!と宣言。


その後、積みゲーの数え間違いが判明し積みは80本あった事が判明しましたがw、なんと理解ある友人が力になってくれる宣言をしてくれました!互いの積みゲーを崩そうという利害も一致し「積みゲ崩し会」をなんと4週連続開催。2月いっぱいで23本の積みを崩す事ができました!^^

3月は何かと忙しい月で、2月ほどのペースではありませんが、ちょこちょこゲームを購入して保有ボードゲームが増えつつも積みは57本と、逆戻りはせずに済んでいます。今月末までには何とか積みを50本以下にしたいな、と思っているところです!

この事については何故か「やれるんじゃ無いかな?」という根拠の無い自信があるのですが、きっとスモールステップによって自己効力感が高まってるからだと思います 笑

ここで私の例を書いたのは積みゲーを崩せていることを自慢する意図ではありません。
上に列記した効果はあながち机上の空論ではないよ!と言いたかったのと、更なる宣言効果を狙ってのものです 笑

noteでも書いた以上、ブザマな様子は晒せませんからね!

2月に崩した積みゲーさんたち。

最後に

という訳で、ちょっとした心理学の小話なども挟んで「人が人たる所以の心理を逆に応用して、いかに積みゲを崩すか」という話を書いてきましたが、皆様いかがだったでしょうか。

積みゲーって、見ないように触れないようにしてても、何となく心のどこかで罪悪感のようなものがあるんじゃ無いかな、と思うんです。その罪悪感があると、積みゲーがあるのにまた別のゲームを買った時なんかに「あー積んでるのにまたやってしまった…」みたいに、なんかスッキリしない気持ちになってしまう…もしそんな事があるとしたらちょっと残念じゃないですか?

もちろん上記したものの全部が全部、全ての人に当てはまる訳ではないと思います。ただ、上に書いた中の一つでも「お!これ良さそうだな!」とか「これならやれるかも!」と思えるものがあったとしたら、書いた私としても望外の喜びです。ぜひ積みゲーを減らし、気持ちよく新作に臨める事を願ってます^^

以上、長文となりましたが最後までお読みいただきありがとうございました。
皆様のボドゲライフに幸多からんことを♪♪

余談
積みゲー崩しの後編、公開が遅くなり待ってくださってた方が居たら申し訳ありませんでした🙇‍♂️
ただ自分の体験談を書くのでは汎用性に欠けるし、何か理論的な事を書きたいなあ…と思い、日々チョコチョコ調べてはネタとして溜めてました。でも調べるのも楽しかったです^ ^
ちなみに私は心理学や教育学の専門家という訳では全く無いので、もし事実誤認や解釈の誤りなどがありましたらこっそり教えていただけると助かります( ̄▽ ̄;)

余談まで読んでいただきありがとうございます!
120%の感謝を!

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