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対談 ~NPO法人「ハレハハ」ボウズ満恵代表理事~

 世の中にはさまざまな社会貢献活動があり、志を持って取り組む方が次々といらっしゃいます。その想いを伺って一人でも多くの方にお届けすることは、「まること」(丸く、穏やかで、循環的な状態の表現)の世の中の実現に向けて取り組む黒住教として有意義であると考えます。
六月八日、特定非営利活動法人「ハレハハ」のボウズ満恵代表理事を神道山にお迎えして、その理念や活動について、同法人の理事もさせていただいている私がお話を伺いました。その要旨を以下に紹介させていただきます。

黒住
この度はNPO法人のご設立おめでとうございます。まずはハレハハの活動や設立の背景を教えて下さい。

ボウズさん
ありがとうございます。お陰様で五月十九日に法人格を取得することができました。黒住さんには理事に就任していただいて心強いです。私たちは三年前、平成三十年七月の西日本豪雨災害を機に、「サンサポートオカヤマ」という災害支援団体を立ち上げました。黒住さんとの出会いもその活動の中でのことでした。

被災地の親子支援、子供の気持ちに寄り添う活動などを行う中で、「災害時を見据えて日常から緩やかに周りの人たちとつながっていくことが大事」だと思いました。それを形にしたいと、防災活動や「子供が育つ環境」をキーワードとして、「必要だけれど足りていないものを活動に落とし込んでいこう」と考え、被災地の状況が落ち着いてからも、ハレハハに名称を変えて再スタートしました。 

黒住
豪雨災害の時、ボウズさん自身も主婦であり母でおられましたが、なぜそうした支援を決めたのでしょうか?

ボウズさん
はい。被害の大きかった真備に知り合いはいませんでしたが、子育てをしているお母さんたちのことを想像した時に、とても苦しい状況にいるのだろうと思ってすぐに動き始めました。

黒住
多くの仲間が集まったのがボウズさんのすごいところの一つだと思っています。

ボウズさん
応援したい人、助けを求める人、合わせて千人くらいになりました。皆思いが一緒だったのです。

黒住
有事の時にはスピードがものをいう部分があります。早く動いてその動きの中で考える。当初からご一緒していましたが、行動する中でするべきことが固まっていった感じがありました。

ボウズさん
そうですね。動きながら考えて選択していくことが大切です。「間違っているかもしれない。失敗したらどうしよう」と考えるよりも、ひとまずやってみる。小さなことから始めて動き続ける中で改善して、少しずつ大きくしていくことが大事だと思います。

黒住
様子を見ながら絶対に失敗しないことをやっていこうと思っていたら、情熱は届きづらかったかもしれませんね。

ボウズさん
人の気持ちにも“鮮度”があると思います。勇気はすごくいるけれど、まず動くことが大事なのです。

黒住
実際に手伝ってくれた仲間や支援された側の人からは、どのような声が多かったですか?

ボウズさん
相手の方も最初は様子を見ています。「大勢の支援者が入って来るけれど、誰を信じたらいいのだろう?」と。そこに、少し強引にでも淡々と行うことで信頼が生まれてきます。「初めはビックリしましたが、今となっては本当に心の支えになっています」とおっしゃっていただいたこともあります。

黒住
活動の途中から被災者のための場づくりを始められていました。そのように切り替えた動機は何でしょうか? またそれはどのようなコミュニティだったのですか?

ボウズさん
“モノ”が多い支援から“場づくり”に移ったのは、被災者方が生活を再建し始める頃で、その主役はそこで生活している人たちだと考えました。そこで、あえて私たちは一歩引いて動くことで、裏方としてのサポートをするように切り替えたのです。コミュニティハウスのような「場」をつくり、話し合いや物作り、時には炊き出しなどの場を用意して皆でリラックスしてもらうなどです。何がしたいですかと聞いてみたり、皆さんから「次はこれをしたいね」と声が上がったりするようになっていきましたので、その主体性を重んじながら一緒に活動しました。

黒住
サンサポートオカヤマの活動としては、その場づくりが集大成的な感じでした。今年で三年、まだ大変なところもありますが、だいぶ落ち着いてはきました。その中でハレハハに移行していく。ハレハハではどういうことを軸として活動していきたいとお考えですか?

ボウズさん
子供が健やかに成長していくために必要なのは、土台づくりだと思います。幼少期の環境や育ち方、そこで何を感じてどう育つか、そこに力を注ぎたいです。私自身も経営者の父の倒産に始まりいろいろと大変でした。ですが、当時はそれがどこでもあることだと思っていました。子供だから他と比べられないのです。今、客観的に見ると苦しい環境だったと思います。「あの時、何があれば良かったのかな」と考えますと、家庭のすぐそばに安心できる場所、希望が持てるような明るい場所があればいいなぁと思いました。その場所になりたくてハレハハを立ち上げたのです。

黒住
いつの時代においても「社会的セーフティネット」の必要性を感じますね。どのような場所にしていきたいですか?

ボウズさん
どのような子でも居場所があり、誰でも主役になれる。一人ひとりが自分自身を認められる場所にしたい。強くそう思います。子供たちにさせることも、彼らに決めさせたい。豪雨災害のときに、次は何をしますかと被災者の皆さんに尋ねていたように。子供たちへの「何をしたい?」という投げ掛けからいろいろな活動が生まれていくのがいいと思います。また、大人たちが子供を無条件に受け止めて信じる。そういう環境をつくりたい。そういう人・場所があるのはすごく大きいのです。

黒住
そうですね。例えば教育といっても、教えるのではなくていかに学び合える環境を整えてあげるかが大人の役割かなと思います。

ボウズさん
柔軟に心を耕してあげることが大事です。そのために何が一番大事か。それは愛情です。信じるというのは相手を思う愛情なのだと最近になって感じるようになりました。

黒住
私は宗教者です。家庭持ちというわけでもない、畑違いの人間が理事に加わらせていただいていますがお役に立てそうでしょうか。

ボウズさん
いろいろな方が集まる、広い視野が持てる場所にしたいのです。黒住さんには心の話をしていただきたいと思います。水は止まると澱よどむ。大事なのは少しずつでも流れを作って注ぎ続ける人がいること。そういった存在になっていただきたいと。また、ハレハハのハハは母親だけではなくて、どのような時でも太陽に向かってハハッと笑おうねという意味も込めています。次に進むための灯台役をしていただけたら有り難いです。

黒住
是非よろしくお願いいたします。今日は有り難うございました。


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