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血液空気型

30XX年

人間は多様化し、様々な人種が現れた。

特に血液型の幅が一気に広がった。

私はその一つ一つの特徴を記録する仕事を行っている。

未だ確認されていない血液型もあるらしい。

最近発見した新しい血液型を紹介しよう。

まずは、“血液空気型”だ。
血管に血の代わりに空気が流れている。
1人だけよく宙に浮いてしまう人がおり、「あれは新種の血液型ではないか」との通報があったのだ。
そして血液検査をすると、空気が抽出された。

血液空気人間はたまに宙に浮いてしまうらしい。そのため、バスケでは無敵のダンクシューターとして活躍もしているみたいだ。

次に、“血液音楽型”だ。
血管に血の代わりに音楽が流れている。
心臓の音はドラムの音が鳴っているようだ。
ずっと何かしらの楽器の音や歌が血管の中を駆け巡っているため、静かになれないみたいだ。

しかし音楽番組には引っ張りだこで、あらゆる種類の音色を披露して稼いでいるらしい。

最後は、“血液時間型”だ。
血管に血の代わりに時間が流れている。
一回この男が出血した時、時間の流れが急速になったことがあった。あの時は何が原因で時間が早くすぎたのかは分からなかったが、この男の血管に流れている時間はこの世の時間の流れとリンクしているようだ。
出血が治まり、瘡蓋ができた頃には逆に時間が止まったような気がした。

政府に、“血液時間型”の人間がいることを報告すると、丁重に扱うようにと言われた。

これからも新血液型を見つけ次第、追記していく。

ちなみに私の血管には文字が流れている。

子供の頃、初めて鼻血を出した時に血の代わりに「犬も歩けば棒に当たる」という文字がタラタラと流れてきた。

その時初めて私が“血液文字型”ということご判明した。

本を読み言葉を知りすぎるとその分血液も増えて高血圧に繋がるので、本はほどほどにしている。

ちなみに今書いている文章も私の中の血液量を減らすために垂れ流しているものである。


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