非常事態の内部
能登半島で地震と津波が起こって、正月ムードは一変、テレビは全て災害情報を伝えるニュースになった。
1か月経ってどうなったんだろう?
被災地ではおそらくまだ日常は少しも戻らず、でも他の地域にはすぐに日常が戻った。
5年前に北海道で胆振東部地震があって、自分が住む札幌も大きな揺れに遭った。
あのときは9月、大学の夏休み中。深夜に目が覚めて、一通りニュースを見たあと、余震もないなと思って寝て目が覚めたら停電していた。
市内に実家があるのでとりあえず帰ったのだけど、丸2日停電していてテレビはないしスマホの充電も切れていたので、実は被災情報をリアルタイムで見ていない。
過去の映像を振り返る番組などで何度か見て何となく知っている程度で、あの2-3日の情報は人生から抜け落ちている。
ちなみに地震の数日後には北海道を出て予定通り関西旅行をしている。
北海道にいてもスーパーの棚は空きだらけで不便なだけだし、離れたほうが便利で安全だろうと。
札幌は停電が続いたのと物流が止まった(あと一部地域で液状化があった)くらいで、大して被害もなかった。
ニュースも十分に見れていない自分は、関西で北海道民になることで、はじめて被災者であることを自覚した。
新潟県中越地震、東日本大震災、今回の能登半島地震と、大きな災害があると1日中被害を伝える報道があり、がけ崩れに飲まれた車や燃える街は記憶に刻まれている。
この前奥尻島に行って1993年の津波の話を聞いたとき、生まれたばかりのはずなのにすぐに当時の様子が浮かんだ。
それなのに大人になってから体験したはずの震災の記憶はない。そんなものなのかもしれない。
規模は違うけど、戦争も実はそんなものなんじゃないかと思ってる。
国家対国家が戦っていても、中にいる一般市民は何が起こってるかわからない。
わけもわからず逃げ惑うこともあれば、外の人間から見るとわけがわからないくらい、すぐ近くで日常が続いてることもあるだろうと思った。
そんなことを考えてると、豊島ミホさんの『青空チェリー』に収録されている「ハニィ、空が灼けているよ。」という短編を思い出しました。
高校のときこの本に出会ってから「女による女のためのR-18文学賞」がめちゃめちゃ自分に合っていると気づいて、本選んで買うのが楽しくなりました。
そんな感じです。
おわり。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?