こよみだより *立秋*
― それと少しの、お箸のおはなし ―
2021.8.7
二十四節気の「立秋(りっしゅう)」入りです。
こよみの上では、早くも秋の始まりです。
江戸時代の こよみ便覧 には、「初めて秋の気立つがゆへなれば也」と記されているそう。
この頃から 夕方には秋風が吹くとされ、「秋の気配が立つ日」という意味で、「秋立つ」ともいうのだそうです。
とは言え、この暑さでは、「こよみの上では」 という枕詞が欠かせませんね。
二十四節気をさらに三つに分けた 七十二候を見ると、少し涼やかな気分になれるかもしれません。
[初候] 涼風至 すずかぜいたる
[次候] 寒蝉鳴 ひぐらしなく
[末候] 蒙霧升降 ふかききりまとう
吹く風、虫の音、景色の変化を意識させてくれる、すてきな言葉です。
季節の挨拶も、暑中見舞いから残暑見舞いに替わります。
実際には まだまだ暑い日が続きそうですけれど、
少しずつ、季節の移ろいを感じることができますように。
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― 今日の写真 ―
武蔵一宮 氷川神社(大宮 氷川神社)の、境内と参道の風景です。
肝心の本殿などは撮らなかったのですが… 2400年以上の歴史をもち、関東一円の信仰を集めてきた立派な神社です。
― お箸のおはなし ―
この氷川神社は、
須佐之男命(スサノオノミコト)
稲田姫命(イナダヒメノミコト)
大己貴命(オオナムチノミコト)
を御祭神としてお祀りしています。
須佐之男命 と 稲田姫命 と言えば、神話・八岐大蛇(ヤマタノオロチ)退治で夫婦として結ばれた神さまです。
出雲の国に降りたった 須佐之男命が、川上から流れてくるお箸を見て、“川上には誰かが住んでいるに違いない”、と思ったことから始まるおはなしです。
二人(二柱)は、お箸によって導かれ、結ばれたと言って良いのでしょう。今でも お箸はご縁を結ぶと言われる理由のひとつは、ここにあると思っています。
この 八岐大蛇伝説 は、日本で初めてお箸が登場したおはなしです。
このおはなしが記された古事記が、日本で初めての、お箸が登場する文献なのです。
・・・神話? では、いつからお箸は使われていたの?
というと、少しややこしくなりそうですので、それはまたいつか。
※ 須佐之男命が 川上に着いてからのおはなしは、こちらのページの中ほどに。
※ 稲田姫命は、古事記では 櫛名田比売(クシナダヒメ)と呼ばれます。
※ 同じ八岐大蛇のおはなしでも、日本書紀にはお箸はでてきません。
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私は、お箸の活動を ぼちぼちとしています。
「立秋」とは無関係でしたが、今日は少し、お箸のおはなしをしてみました。
残暑厳しき折り、どうぞご自愛ください。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
― 次は「処暑」です。―
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