柊 かんか

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最近の記事

宮﨑駿と夏目漱石

 宮﨑さんと漱石。  この二人について語るファン、研究者は多くない(少なくもないが)。実は結構、宮﨑さんに影響している作家の一人である、漱石は。  宮﨑駿と宮沢賢治、手塚治虫、サン=テグジュペリ、ゲド戦記、砂の惑星…、堀田善衛、堀田善衛から宮﨑作品を語る人も少ない。  おそらくきっと、「純文学作品」とされるものと、ファンタジーを作る宮﨑さんを、結びつけるのは難しいのだろう。  …夏目漱石は、と言えば、書くたびに作風(文体)を変える作家で、中には「幻想文学」のようなものも

    • チョコ猫を抱きしめて

      1  思えば僕は、どうしてチョコ猫と一緒に歩いているんだろう?  ふいに、ヒビカはそう思った。こんな不思議を受け入れている自分も不思議だ。  チョコレートの猫は、まるでアニメーションの猫のようにノッペリとしている、目の青い猫だった。パッと見るだけでは、ただの黒猫にも見える。けれど猫からは、甘い匂いが絶えず香っていて、それはやっぱりただの猫ではない。  チョコ猫は、しなやかに首をひねって、ヒビカを見上げる。  そしてヒビカに、こう尋ねた。  「何を考えているんだい?」  「いや

      • 君たちはどう生きるか から一年。

        映画終盤、純白の積み木が登場する。 異世界の創造主いわく、それが世界を形作っているらしい。 このメタファーは、監督が、スタジオ近くの幼稚園の子どもたちを見ながら思いついたのではないだろうか? ドキュメンタリーを観ながら、そんなことを思った。 映画初見中、自分は、友達とサッカーをして過ごすのが好きだったが、一方で時々(なぜかは覚えていないが)、幼稚園の室内で積み木をしていたことを思い出した。 「この丸いのどこで使えばいいんだろう?」 「この三角二つ並べて、上に横長い四角の置

        • 君たちはどう生きるか という不思議な作品

          「君たちはどう生きるか」は一言で言えば、宮﨑駿監督による「私小説的、児童文学」と言える。 宮﨑監督の「児童文学」に対する拘泥はなかなかのもので、曰く、「この世は生きるに値する」という作品こそが、「児童文学」だと自分に定義しているらしい。 そしてそれを、常に念頭において映画をつくってきた…、けれど同時に、彼の中には「ほんとうか?」という疑念が絶えなかったらしい。 むしろ彼は、彼の幼少期は、「生まれてこなければよかった」という反出生主義にも近い考えで満ちていたらしい(これは、ポニ

        宮﨑駿と夏目漱石

          宮﨑駿 最新ドキュメンタリーをみて

          先日のBSでのドキュメンタリーにて、「あっ」と思うことがあった。 それはドキュメンタリーの最後の方で、宮﨑監督が「今回のドキュメンタリーできたら、最後に俺が出てきて、『真似しない方がいいですよ』って…」というようなことを語っていたところだった。 「我を学ぶものは死す」 まさに。そう思った。 ただ、この言葉は、あの映画において解釈するのならば、インコマンのことではないかとも思っている。 インコマンはあきらかに「アホ」として描かれている。結果、アニメばかり観ている現代人、ある

          宮﨑駿 最新ドキュメンタリーをみて

          宮﨑駿 次回作について

          宮﨑監督が次回作を考えていることは、すでに知られていることです。 けれど、それがどういった作品かは当然わかっていません。 そこでの考察です。 ※出典などは明記しません。あくまで、自分の考えを整理するためにやってます。もっとも、文章は誰かに語るように書きますが… まず一つ目。短編。 ジブリ美術館、ジブリパークのための短編。 正直悲しいことだけど、可能性として一番に考えられるのは、コレ。 鈴木敏夫さんのラジオでは、実は2022年からそういった話が出ていた。その頃には「君たちは」

          宮﨑駿 次回作について