ツービート　　川柳38句

昇順で郵便屋からおりてくる

熱病の象にいちゃいちゃする仕事

労働歌合唱中に犠打をやめ

梅雨の町と塁審らが眠る町

鳳凰の遺伝はじめる五味太郎

イカ天を真似てつくった姫路城

たこ焼をもらう回っていた地球

無が在れば松田優作展が在る

遺伝子も酢こんぶも無い軽井沢

思沢川に眼球譚捨てる

妹に内臓がある鍋の中

オランダにつながるやすり通販し

〈私〉がパンチパーマにしても死ぬ

七日後にころび伴天連像を彫る

虚構だが河馬にあたえる河馬フード

輪になったものそれぞれにししおどし

市街地にきゃぷれきゃんぼが落ちている

虚無僧の歌あまた載る参考書

梅雨晴れのただそこにある地球ゴマ

玄関を掃く人びとにごま書房

簀で巻いて熱きガイガーカウンター

ただこの世安部公房の書院消え

積木歌「それは誰か？」と訊く朝に

膵臓に着信された起請文

絵で示す苺大福抽象図

バーコードみたいな車寅次郎

欄干をするめ固めでごまかした

幾たびか月見えるのでジャブを打つ

恐竜図きのう記憶を傷つけた

けば立ったネタ小説を塗る絵筆

草原に火垂るの墓を暗算し

自傷するカレーライスが在る国で

門松の工場に充つ笑気ガス

過去形でますだおかだが消したムー

老人の待ちつづけたる毒すずめ

砲丸がありえない程パイを焼く

腐敗したとも書かないで腐る司書

銭湯に角川春樹埋め帰る

#川柳 #詩歌 #文芸 #創作 #イノセンス 、それは、いのち