パール・ジャム　川柳108句

兼部する役行者の裔が犠打
愚民らのタケコプターのように減る
波赤しジョジョの鼓膜に届くまで
ワイヤレスイヤホンふたつ盗む画家
ホームズ氏三人棲まう蚕町
村中の食器を捨てている音波
陽高しと嘘を物体Xへ
イースター島の婚礼喜劇集
別人に出す例題がみなリアス
鳥着地わたしであったもの眠り
この星にアリス以外の搾乳者
午睡するセンター街の水母店
母子像に時計在るだけ嵌め込まれ
氷上にカメツキガメと受信する
日没す光GENJIが多い町
カワウソの冒険終わる島沈み
たこわさに固く目つむる哲学者
消えてゆく妻の眼鏡で点けた火が
冬空を父の裸が飛んでゆく
天高く今ギャル曽根がいない町
妻がいて鼻の描写をやめにして
蝉の死の否定をしないドラえもん
無生物自体をあげる遊戯室
セックスの前に模造の城壊し
うつくしい沢庵漬を念写せず
素麺を砕いた理学療法士
風雲記タイプライター地に落とす
千の句が苔を語っていなかった
浅草の雨粒すこしだけ巨大
梶原が鯰について書くページ
音楽家夫婦が埋めるコンセント
皇族がツムラ本社で落とす球
夏目家の絵日記が白だった象
芋を煮る北京の日々に意味あたえ
右腕に動物園と同じもの
冬の脳井戸の名前を考えて
縞馬を消す魔術師に冬の雨
コーラ振る囚人服でない服で
鰓貼ると単純な句を書いた日の
グラフにてPL教の脱会者
百目鬼と小惑星に名前つけ
飴で死ぬ金魚の魚眼へと世界
スマイリーキクチと白い地図を貼る
保育園児らの書く字を換字して
荷台からはみ出るトンガ共和国
恐竜の交尾の仏語書を破り
鉄腕を考えている僧二人
クリスマス・ソングに南部鉄ふるえ
完全なからしチューブの陽画焼く
成虫のままの骸を贈り合う
漬物をバイクで運ぶ容疑者ら
希土類にまみれタクシードライバー
父の句が父を象徴しない冬
北極が溶けてゆく日の太郎冠者
ミスコンに貼る物質のその匂い
ピクニック清張的な題つけて
雨の星はしご代わりの鰯持ち
森の部屋縄と連用形だらけ
割れ鏡不安のポパイ割れており
音譜読むてづくりパンと声に出し
リゲインと湖に着目した会社
紫の病院戦を母降りる
焼肉の途中で眠る茸国
胃を裂けばここは平安京でない
無意識に店主が懸けているそば屋
複眼がふえてゆかないバーに居る
リモコンをかわしきれない神道家
本日も消えたくなった雲厚し
冬の日の細部にわたる象を書く
連盟がアンモナイトの苔払い
寒い朝戦車だったか知れぬもの
ちゃぶ台の上にちゃぶ台的な銃
押しつぶせ命令形の飴を書け
百屋の村人が擦るマッチ棒
新宿が移動する日の作業服
人形の裸をくるむ日章旗
パロディーで語れなかった麩の歴史
ペンギンが飛び越してゆく茶が不味い
野草容れ回転中のサイボーグ
クリームをつくらなかった不死の人
アパートの鍵借りたまま酢をさがす
家に雨覚醒剤を分けあって
クリムトのようなきよしの葬儀中
物質をみんな縮める渋谷駅
縮図描く本田翼が青かった
薬師寺をピーターパンが撮る邦画
信号機バター自体を思うとき
死火山の上の愚者から電子の詩
遣隋使怒りのままにパイ拾う
血がついた地名をさがすアナ一派
みいらとり天気予報を見損なう
フジパンの画像が荒れる寒い朝
鐘撞きに有給を取る機動隊
構造化されるうしろの百太郎
うどん屋へ分速で近づくアープ
団長へ遺志にて指が降り続け
病院にかたちがあった闇の夜
梅茶だと唱え続ける薬剤師
超自我で戦争をする沼凍てて
うつくしい巨人の星を焚く儀式
フラダンスわたしのようなわたし捨て
国道にさけるチーズを載せた群れ
土掘りし記憶を掘りぬ湯気の街
宿題の滅亡譚を捨てる井戸
神智学すべて鉛筆けずり化し
自動車が黄色い人の予備かつら
作話するピンポン球を割った日を
玄関においての窒素から憎い

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