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大菩薩峠(マドンナ)  川柳88句


1.シミュレーション・ゴールド


トマソンにひし美ゆり子が触れて秋

さらに割る王貞治の鍋の蓋

鍋蓋を貼った精神分析医

弁当を隠すヨーダに氏ねと打つ

おとがいの意味性を泣き語る主夫

アムウェイに七角形を与えられ

ラノベから顕れてくる痰の壺

センターに竜頭をめぐる瞽女ばかり

豚吉が太陽光を掌で止める

三平の波止場のように誤認する

槍烏賊の立つ御白洲に踏み絵して

畜生とワーズワースを踏み慣れる

宍道湖にマナー講師が牌そろえ

背鰭無き木戸孝允の大鰻

木炭がひじき戦隊ごと焼けた

ローファーに殉ずるものの新詩集

ホッチキス尽きる村崎百郎忌

たばこ屋に〈重力時代〉売れ残り

武道館サトウの餅が名を変えて

この虹の果てにピラニアデスマッチ

創造のあとの破壊を成す小江戸

冪乗の石火散るなりうどん粉屋

2.秋水(ロケツト局地戦闘試作機)


空無裂け明日のグリーン・グリーン忌

煎餅を背負ってネイルアーティスト

カーリング句会を〆る魔神像

奥付と八百長相撲視るだけの

内向の世代と組んだ勘ピュータ

金魚買うバッドエンドの更にあと

偶数が素数に混じり妻盗られ

本質の犬のさんぽの像を接ぐ

劇場の洗濯板を盗み出す

ハイカットスニーカーでの無尽講

千歳飴海豚そのもの侮れば

滋賀県に永久カレー店閉じる

帝国のアイコン押して秋暮るる

反季語をあらわしかけるみのもんた

ストロング小林と行く公家の家

ラーメンが無いを意味する形容詞

児童書に滅びた鈴鹿サーキット

木田さんがキットカットを単位にし

象眠る吉屋信子の時計店

毬藻飼う夫婦に闇の天ぷら粉

弥勒降り吾妻ひでおを繰り返す

サザエさん時空のなかに核の冬

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