三畳紀にふかしいも 川柳23句
カツ丼のままに地下鉄九段下
段平の記憶にひとつきなこもち
ポプラ折れ犬を縛っている婦人
図書券をおそれ集団心理学
仏像に手袋ふれる物理学
北野家に遍在をするフィラメント
脱皮後も安い薬缶と思わせて
人間の改造室の窓に雪
市役所の東洋人が酢で滑る
バス停にバス在らざりし犬神家
闇市のマウスピースを探照す
猿飛の堕落のかたち十二月
色をみな肯定された鳥次元
無理数が伊勢神宮を出て行った
アントニオ猪木が喚んだ地蔵量
手で拾う純文学の柿の種
十二月一日付けのフェティシズム
両断にされたマタマタ大百科
ふかし芋教義のとおりシャツを切る
自殺論漢字パズルのはまりたる
駅を出るみな実朝の傷を持ち
胡麻みつめ友だちを消してしまった
志村けん知らざるひとの登頂記
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