HAL2000(夏花の歌) 川柳70句
略歴にとうころもしとあるが昼
メイド・イン・USAの河馬模型
漱石の個人主義からみるかわら
鉄郎の三角錐へ鷺とんで
ねぎぬたを認識すると東京市
猫の日にもどらずタイムトラベラー
フロイトを同語反復する麺屋
めんま買う天の火の玉おちてきて
平塚の世界ほろびているわかめ
餡つぶす戸塚にヨットまなびつつ
蕨市に皇居をうつす火の世界
皇國の縄ほどかれるあしかショー
マックスの北の国から猿ぐつわ
玄関にコミックバンドみなほろぶ
隔離区の髙山さんが夕やけて
数字から数字みちびく夏炬燵
アンカーによってたかって夏ぶとん
たまごわるゲリラ放送局の夏
クロッキーひとつも消えず五月尽
ロゴスあれMr.Booの台所
慎平と人工芝をかえにゆく
塾生の祝詞のままに陽は暮れて
チャゲの部屋敵性言語つかいつつ
カーテンを買って動物園の乱
恩寵のラムネをはかる思惟役場
カヌー漕ぐやま・おち・いみをつぶやきつ
談林が三原じゅん子にみせるわざ
世よほろべデートコースを縦に書き
ベーゴマをたしかめ麻薬常用者
戦隊の名まえをふくむどくだみ茶
テクニシャン同士が護摩を焚いている
学び舎にあるはずだった鮭サブレ
菓子魔らがフォントを変える無の無菓子
塩の名を田山花袋とつけまぜる
タバスコが消えてとなりの山田くん
水槽を割りつくすまでとなり組
無意識のとうふいためて与謝蕪村
六月の壁にアンネの日記書く
色つきの長女長男自転する
皇國やマサ斎藤の記事貼られ
ジャズ研の長くつ下をむせかえす
正常の日本語内をむしかえす
納豆を改造しない善市民
貯金魚に薮田がいない論理学
天丼とハルマゲドンのみてある記
重力の虹にカツ丼はじまりぬ
くつ下をだれも識らないおいちょかぶ
山本の意味がつうじる蚊遣香
マタマタがかえってこない意味の家
森村の狂乱つづく夏時間
彫りふかき記者が帰社する夏の闇
地上絵をブラック・ジャック塗りそめる
カンフーの映画つらぬく神の御名
夕やけてかんてんぱぱに地動説
ヒルトンと海豚の時がすれちがい
蠅の王映画はじまるまでの飴
揚力がただしいひとにかかる檻
時計草ジャズ大名の耳をそぐ
少年が虹うんでより時間都市
木俣より村田兆治がぐいと出る
迷宮に季語たずねゆく夏の闇
地球ゴマしばらく止まる封鎖都市
ゆきだおれバタアシ金魚文字にして
ハッパ吸う丸出だめ夫に夏時間
トーキング・ヘッズ脳よりもらい泣き
マゾッホを訳しつづける美老人
再訳の『おかゆ大使』にDあらず
D坂に焼けあとのこす章魚の店
団地へと超新星をみてかえる
鉄分にあふれるひとの私小説
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