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徒然なるビート

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自分の人生を振り返って大切なものを考えたり考えなかったりするブログです。
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2023年10月の記事一覧

罪悪感と足枷

[1]心の風邪
 人生自信を持っていると、鼻を挫かれるものだ。それまでそれなりに順調に進んでいた人生が20代中盤から少しずつ崩れ、心や生活の痛みと闘うことが増えていった。
 始めて正社員で就いた仕事は一年足らずで心を壊して辞めた。あの頃の記憶はぶつ切りになっていて一応繋いでいるものの思い出せることが多くはないが、明日の生活すらままならない人たちの声が耳から離れないし、それを軽く流す上司の声も忘れる

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鷺とホームレス

[1]紐解き
 未来を拓くため、そして現在に躓かないために、自分の性格や思考、気に障ってしまう端緒の根源を理解する必要があるだろうと、幼少期の記憶に手を伸ばして掬い上げて、一つ一つ丁寧に紐解いていました。それはツアーファイナルが終わり、打ち上げも終わった後、一人大阪行き近鉄電車の始発を待つ川沿いのベンチで行われた思考の旅でした。近くにはホームレスが寝ていて、その周りを鷺が歩き回っています。ぼんやり

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まるで幽霊のようだ

[1]
 いずれ仕事を辞めるつもりしかないが、僕が面倒で誰もやりたがらない業務に首を突っ込みまくっているのは、決して言葉には出ない他人の「楽をしたい気持ち」や「誰かが片付けてくれたらいいのに」と言った人の心の隙間を垣間見たい気持ちがあるからでもある。
 「誰もやりたがらない仕事」を率先してやっていると、ミスをしても不思議と周りから責められない。それは周りの人の心のどこかに、小さな罪悪感や、黙って知

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ひとりよがり

[1]
 「ではでは、また」と言ってエレベーターの扉が閉じるまで見送ったけれど、中途採用された彼は今日で退職だった。仕事や気遣いができない人だったけど、根は良い人だった。
 彼の最終出勤日は、机の片付けやら、お世話になった人への挨拶があるだろうから、特に業務を持たせないように随分前から伝えていた。が、彼は「僕は、はぐれメタルのように去りますから」と言って誰にも見つからないようにひっそり過ごそうとし

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