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Child Kingdom -Cheap Toy BOX-

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紙上の赤インキに過ぎないものに怯えていたあの頃、


身のうちに宿った神聖で無垢そのものの力で、木製の洗濯バサミを鰐にすることも可能だったあの頃、


やはり自分以外は硝子の眼玉ではなかったのだろうか。

その王国では、恒星の皇子様の居住地にもある素直な感情のニキビ噴出が認められ、


大勢の子羊達をただ、無粋な羊飼いの錆びた鋏で丸刈りにして、外界の寒さに晒す学校という名の「子羊達の憩いの庭」も、赤褐色をした大声の絶えない建前上の我が家という名の「帰る家」も、黴が生え破かれた古写真も同然だった。

羊の皮を被った同窓たちが、薄いブラウン管やもっと小さい掌のうえの画面に夢中になっている時に私はそこでしか息継ぎが​、出来なかった訳なのである。
───────決して息ではなく、息継ぎである、息にもならない息継ぎをしている状況の方が、過酷であるということを諸君らは痛いほど分かってくれることと思う​───────
しかし皮肉なことに、私はその王国からなにか一つだけでも、持ち帰ってくることは叶わなかったのである、全く、優しくない迷い家……。
さぁ燃やしてしまおう、竜の喉笛に宝剣をつきたてる事が聖人への証ならば、
父親殺しが成人への割礼ならば、
母親の胎内という名の微温湯に何時までも漬かっていたら、羽化不全で腐れ者の仲間入りだ。


私はこの儀式を持って、この神聖な王国を永遠にしなければならないのだ
久遠の、一瞬の時に、飛翔と寄生の二重影のある繭の中に閉じ込めなければならないのだ。

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