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『吠える海』

謎の怪獣により〈国際発掘調査隊〉の海洋調査船が次々と沈没させられた。
看過できない異常事態に〈U-SET〉への調査指令が下る。
そんな中で、ダイチは海を見据え続けている少年〝うしお〟と出会った。
「U-SETなんか帰っちまえ!」
過敏な警戒心から拒絶するうしお少年が気掛かりとなったダイチは、村人達に聞き込みを行う事に……。
遡ること数年前──。
彼の父親は有能な猟師であり、その操舵手腕と現場知識を見込まれて〈国際発掘調査隊〉の案内役を高額依頼されたという。
調査対象は〈海底遺跡ザヴァン〉──ディアすらも知らない超古代文明である。
そして、帰還した調査船に父親の姿だけは無かった。
遺跡調査中に不慮の事故で亡くなったという。
以来、うしお少年は大海原を見据え続けるようになった。
毎日毎日「父さんは帰って来る」と……。
何故、うしお少年が〈U-SET〉を警戒敵視するのか……ダイチは納得できた。
彼にとっては〈国際発掘調査隊〉も〈U-SET〉も同じ〈国際未解明調査組織〉という存在──ともすれば〝父親を奪った仇〟なのだ。
「でも……僕達は違う!」
その想いを伝えるべく再接触しようとした矢先、うしお少年が〈国際発掘調査隊エージェント〉に襲われる現場へと遭遇する。
彼等は、うしおの父親が〈海底遺跡ザヴァン〉に関する情報を遺して、息子に託していると考えたのだ。
うしお少年を守るべく攻防を繰り広げるダイチ!
その時、謎の怪獣〈深海獣しんかいじゅうエイキング〉が姿を現した!
怪獣はエージェント達を排斥する──少年を守るかのように。
その姿を見て、うしお少年は何故か確信を叫ぶのであった。
「お父さんだ!」

怪獣襲来にパニックと化した村を守るべく〈ギガレイスディア〉が登場!
激戦の流れで戦場は深海に──そこは〈海底遺跡ザヴァン〉近域であった!
不得意な海中戦にギガレイスディアの劣勢も極まるが、神秘エネルギー〈ギガマイト〉と海底遺跡の共鳴現象によって経緯の情報が流れ込む。
この深海獣しんかいじゅうは、やはりうしお少年の父が変貌した姿であった!
不可侵聖域を踏み荒らすという禁忌を犯した罰で、遺跡の守護者たる〈ザヴァンの残留思念〉によって怪獣化させられたのだ!
そして〈国際発掘調査隊〉は、彼をスケープゴートと見捨てて逃げ出したのである……。
その復讐のために現れたのか?
ダイチには、そう思えなかった。
仮に復讐心に突き動かされていたとしても、それより強く根底に慟哭していたものは──〝愛〟。
ただ「息子に会いたい」という衝動だけが、深海獣しんかいじゅうを突き動かしていたのである。
だが、それはもはや叶わない……。
臨戦意思を捨てたギガレイスディアに諭されて〝父親だった者〟は残酷な運命に咆哮を上げるしかなかった。
そして、今一度だけ海面に姿を現した巨影は、息子の呼び声を背に夕陽へと去って行くのである……。

今宵も海獣かいじゅうの叫びが聞こえる……。

何処かの海で……。

悲しい咆哮が……。

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