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経営組織論と『経営の技法』#160

CHAPTER 7.4:グループダイナミクス
 ここまで1人で行う意思決定と複数の人で行う意思決定をあまり区別せずに考えてきました。しかし、個人で行う意思決定と集団で行う意思決定はずいぶん違います。1人でランチをとる店を決めるときと、みんなで決めるときでは、そのプロセスは大いに異なるのではないでしょうか。それは満足化であれ、最適化であれ、1人にとってのものと集団にとってのものでは異なってしまうからです。
 また、集団での意思決定では、最適化モデルや制約された合理性モデルの意思決定のプロセスとは異なる要素が影響してきます。ここでは、集団の意思決定の持つ特徴について考えていきましょう。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』162頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018.2.1)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019.2.1)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 ここから、個人ではなく「組織」に特有の問題を考えていきます。
 「集団心理」という言葉もあるぐらいですから、「組織」固有の問題があることは容易に理解できます。この章のテーマは、組織の意思決定ですが、個人の問題と組織の問題を対比することで、組織の意思決定の特徴がより鮮明に理解できるはずです。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 投資家である株主から経営者を見た場合、経営者は「適切に」「儲ける」ことをミッションとします。会社組織は、そのためのツールですから、組織を上手にコントロールできることが、経営者には必須の条件となります。そのため、経営者自身だけでなく、経営者に対してガバナンスを効かせるべき株主も、組織固有の問題の理解が重要です。

3.おわりに
 今までのは何だったんだ、最初から「組織」の話をしてくれればよかった、と思うせっかちな人もいるでしょうが、前提をしっかり理解することで、応用力が上がります。きっと、「組織」を前提にしたモデルも万能ではありません。「組織」を前提にしたモデルを上手にアレンジしなければならなくなりますが、なぜこのようなモデルになっているのかを知らなければ、上手にアレンジできないのです。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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