見出し画像

経営組織論と『経営の技法』#28

CHAPTER 2:組織を動かす基本設計
 組織の力を用いて何ごとかを成し遂げようと考えるのであれば、組織とは何かばかりを考えていても進みません。まずは組織を作るところから始めなければならないでしょう。
 この章では、組織を作るうえでの基本設計について考えたいと思います。第1章で、組織とは何かという問いかけから組織の定義について話しました。そこでは、組織とは「2人以上の人々による、意識的に調整された諸活動、諸力の体系(システム)」と定義しました。
 しかしながら、定義だけでは組織を作ることは難しいでしょう。『広辞苑』を見ると、時計とは「時刻を示しまたは時間を測定する器械」と書かれていますが、この定義だけで時計を作るのは至難の業です。同様に、組織の定義だけで十分な組織を作ることは難しいのは明らかです。この章では、まず組織を作るうえで重要な2つの要素について触れていきます。1つ目は目標、2つ目は分業と調整です。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』23頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018.2.1)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村・久保利・芦原/中央経済社 2019.2.1)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 いよいよ、組織を作り始めます。
 しっかりと儲けるためにリスク管理を活用する会社組織を目指すのですから、ここで議論される「目標」「分業と調整」は、当然、基本となる重要な礎です。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 そして、これらは投資家にとっても重要な問題です。
 というのも、目標の定まらない組織に、わざわざ投資したいと思わないでしょう。投資判断に必要な情報が足りない、会社の目標もはっきりしないのに、組織をまとめ上げて動かしていけるのだろうか、ということになるからです。
 さらに、「分業と調整」も決まっていない状況では、組織ではなくただの烏合の衆です。そこから、組織としてベクトルが揃い、大きな動きを起こして成果を出すことなど、とても期待できません。
 このように、投資対象として見た場合にも、これらは重要な要素なのです。

3.おわりに
 儲けるためにリスク管理できる組織論の中身に関する議論が、いよいよ始まります。
 頑張りましょう。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?