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経営組織論と『経営の技法』#264

CHAPTER 11.1.1:資源の依存度の要因 ①3つの要因 ❶資源の重要性の意味
 このような資源の依存度は、大きく3つの要因によって決まります。それらは、資源の重要性(資源の相対的な取引量と必要性)、資源の配分と使用に関する自由裁量、資源コントロールの集中です。
 まず 資源の菫要性は、依存する側にとってのその資源の重要性を指します。もちろん、資源が重要であればあるほど、相手に対する依存度は高まり、相手からの影響力は強いものになります。
 このうち資源の重要性には、少し触れたように 2 つの次元があ ります。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』246頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 たしかに、会社の行動を決めるだけでなく、会社組織の在り方を決めるうえでも、「資源」という発想は大事です。物質的な資源(製品の原材料など)だけでなく、前回#263の本文の具体例で示されたお金や、実際に会社を動かす従業員・人材、様々な情報・ノウハウ、経験・技能、等も資源となります。ここでは「資源の重要性」と抽象化して整理していますが、何が重要かは、スポーツ選手に例えた場合の競技種目と、それに挑む際の作戦や、チーム内(団体競技の場合)での役割りなどによって決まるように、ビジネスの内容や経営戦略などに応じて決まります。
 そこで重要とされる資源を効率よく活用するために逆算して、会社組織の在り方が変化します。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 投資家である株主から投資対象である経営者を見た場合、市場での競争環境やそこでの経営戦略、それに向けた経営資源の獲得や配分などを決定し、実際に会社組織を動かしていく能力が必要です。経営資源という発想は、経営者が、外的環境と社内体制を関連付けて把握し、コントロールするうえで有用な概念となります。

3.おわりに
 ここしばらくのテーマは、その資源が、自分でコントロールできるかどうかの前に、どれだけ重要なのかを見極めようという問題意識になります。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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