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経営組織論と『経営の技法』#207

CHAPTER 9.2.2:キャリアアンカー ②技術・専門能力
 まず、技術・専門能力とは、特定の仕事に対して才能を持ち、高い意欲を持つ人です。このキャリアアンカーを持つ人は、自分の能力を発揮し、問題を解決することに充実感を覚えます。ですから、技術・専門能力をキャリアアンカーに持つ人は、仕事が挑戦的であることや、そもそも能力や才能を活かせる仕事であることを望みます。その分野は問わないものの、いわゆる職人的に働くことをキャリアの中で大事にしたいと考えている人といえます。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』205頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018.2.1)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 会社組織の観点から見た場合、会社が、専門性の高い製品やサービスで勝負している場合に、このタイプの従業員は必要不可欠な存在でしょう。
 もちろん、専門性の高い製品やサービスのコアな部分まで外注するようなビジネスモデルもあります。
 しかし、その場合でも、外注して購入する製品やサービスの品質を常にチェックして維持したり、より専門性が高くて競争力のあるものを探し出したりする能力が会社組織には必要です。外注先の専門家とやりあって、共感が得られなければ、競合他社を出し抜いて競争力ある製品やサービスの提供をしてもらうことができないからです。
 リスク管理(リスクを取ってチャレンジするためのリスク管理)の観点から見た場合、問題はこのような専門性の高い従業員をどのようにコントロールするのか、という点が重要です。自由な活動を保証しなければ実力を発揮しないでしょうが、かといって限られたリソースの中で、会社全体に役立つことをやってもらわないといけないからです。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 そうなると、経営者のスキルとしても、一面で専門性を発揮させつつ、他面でそれがビジネスとして成立するようにバランスを取る能力が必要になることが理解できます。

3.おわりに
 技術・専門能力にキャリアアンカーのある従業員自身の問題(本文)に加え、その個性と組織の関係も考えてみました。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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