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経営組織論と『経営の技法』#217

CHAPTER 9.3:キャリアの発達論 ②探索(1段階目)
 最初は、組織に入る前で、探索する段階です。ここでの課題は、何より自分の仕事をする準備を整えることです。そのために教育訓練を受けたり、あるいはちょっとした仕事経験をしたりすることで、自分の能力を高めていく必要があります。また、そもそも自分がどのような仕事に関心があるのかを自覚する必要もあります。もちろん、仕事をするということに対する心構えもできている必要があります。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』210頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018.2.1)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 この探索の段階で、能力を高めてから応募し、入社してもらうことは、優秀な人材がくる可能性を高めますが、求める人材のイメージが正しく伝わっていないと、入社後のミスマッチの可能性を高めてしまいます。「こんなはずではなかった」というギャップが、失望や諦めにつながります。
 そこで、特に大企業の採用活動では、放っておいても希望者が殺到する会社であっても、単に募集の案内を出すだけでなく、求める人材のイメージを具体的に伝えるための就職説明会などを繰り返し開催します。
 他方、仕事を通して成長してくれれば良いから、特に人材として高い能力や経験は求めない、という形で採用段階でのハードルを下げる方法もあります。
 この場合には、能力や経験値に伴うギャップは生じにくくなりますが、社内での成長が実感できなければ、そこに不満を感じる従業員が出てくるでしょう。
 このように、いずれの方法を取るにしても、人材の成長プロセスがはっきりしているかどうかは、「探索」の段階やその後の人材活用の過程で、大きな影響があるのです。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 結局、会社組織の能力は人材によって決まります。技術力が売りの会社であっても、技術を作り上げ、磨き上げていくのは、人です。
 このことから、人材確保はどの会社組織にとっても重大な問題です。経営者自らが積極的に人材採用に関与するのは、当然のことです。

3.おわりに
 「探索」は、自分に合う「場」を探す過程でもあります。この人たちと一緒に働く自分をイメージできるかどうか、その中の自分が生き生きとしたイメージかどうか、も1つの物差しとして、活用しましょう。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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