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経営組織論と『経営の技法』#131

CHAPTER 6.2.1:変革型リーダー I.プラン(①戦略的ビジョン、②環境探査・理由づけ)
 変革型リーダーの行動の特徴は、次の6つの点に整理することができます。
 1つ目は、戦略的ビジョンを持ち、それを浸透させることです。組織や部署の魅力ある将来像やビジョンを提示するだけでなく、やはりそれを自分の部下たちに浸透させることも含めて行うことが大事になります。そのためには、戦略的な課題を提示することや、目標を明確にすることなど、焦点をはっきりさせることが必要です。曖昧な夢やビジョンを提示するだけでは、変革には至らないのです。
 2つ目に、環境探査・理由づけをすることです。ミドルマネジャーだけでは組織の変革は成し遂げられません。そのためには、組織内の状況を注意深く観察し、自らがめざす変革の持つ意味を考えることが必要になります。組織には同じ内容であっても、響きやすい言葉や効果的なアプローチがあります。組織を動かすためのツボをうまく見つけることが変革型リーダーには求められるのです。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』134頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018.2.1)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019.2.1)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 組織文化を変革するのでなければ、むしろ、それに共感できる人を広げていくことが重要になりますから、さまざまな人がそれぞれに共感できる場を多く作るために、ビジョンの輪郭は曖昧になっていきます。
 ところが、組織文化を変革するためには、実際に動かすことが必要となり、そのために多くの従業員が何をどのように変えるのか理解できなければ、動きません。具体的でイメージを共有でき、しかも共感できるビジョンを作る必要があります。
 しかも、そのビジョンを形にしていくことが必要で、実際に行動に移すだけのパワーや段取りも必要になります。
 組織文化、という綺麗ごとに聞こえるようなことでも、実際にそれを動かすためには、イメージ作りやプラン作りがなければスタートすらしないのです。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 投資家である株主から経営者を見た場合、大きな会社であれば、経営者1人で組織文化を変革するのは不可能であり、これから検討されるようなリーダーたちが組織の中にいてこそ可能です。
 組織そのものではなく、ここではまだ組織文化のレベルの話ですが、それでも現場を掌握するためのリーダーたちの役割が、垣間見れてきます。

3.おわりに

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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