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経営組織論と『経営の技法』#39

CHAPTER 2.2.3:水平分業のメリット・熟練形成の推進
 また、機能別に分業されサブタスクに分かれていることは、熟練を形成するうえでもメリットとなります。英語と数学どちらかだけを教える人は、英語と数学の双方を教える人に比べてそれぞれを教える技能が習熟するスピードは一般的に速くなります。習熟ならびに熟練の形成においても、機能別分業にはそのスピードを上げる点でメリットがあるのです。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』32頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018.2.1)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村・久保利・芦原/中央経済社 2019.2.1)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 これは、社内に法務部を作った場合にも該当します。特に、法律には世の中全般に関わる一般的なルールもありますが、事業会社の関わる事業分野ごとに固有のルールもあります。たとえば、銀行の場合には銀行法による規制や、金融取引に関する様々なルールがあります。会社の中に法務部があるということは、法律事務所のように幅広い業種を相手に仕事をする場合よりも、その事業の専門的なルールだけを日頃から扱うことになるので、専門分野についての習熟可能性がより高くなると言えるでしょう。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 株主と経営者の関係から見た場合、リスク管理能力が、その業界の状況に合わせて習熟度を増すことは、投資対象となる会社のリスクが小さくなることを意味しますので、投資としての魅力が増すことになります。

3.おわりに
 分業が進めば、会社の中にそれだけ様々な分野の専門家が増えることになります。会社全体の専門性が高まることは、会社の競争力が高まることにもつながるのです。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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