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経営組織論と『経営の技法』#136

CHAPTER 6.2.2:カリスマ型リーダー III.実行(④フォロワー、⑤予想外の行動)
 4つ目は、環境上の制約やフォロワーのニーズに敏感であることが大事です。ビジョンの実現には、それが並外れていればいるほど、多くの人の力が必要になります。しかし、並外れたビジョンであればあるほど、人々から孤立化してしまう危険性も持ちます。そのためにも、周りに目を配り、人々がついてくるように気持ちを割くことが必要になります。
 そして5つ目に、予想外の行動をとることが特徴として挙げられます。多くの人の力を集めるためには、人々の驚きと称賛を得て、特別な人とならなければなりません。一見、無理だと思われることや驚くような発想の行動をとり、それが成功に結びつくことで人々から特別な リーダーであると認められ、ビジョンを実現することができるようになるのです。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』136頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018.2.1)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019.2.1)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 カリスマ型の経営者に関し、前回と前々回に検討したことが、いずれも改めて確認されました。
 すなわち、熱狂で組織文化を変えますので、理想と現実のギャップの大きいことが重要でしたが(1つ目のポイント)、それを実際の行動でも示します(5つ目のポイント)。また、会社組織のメンバーに動いてもらうためには、自らリスクを取り(3つ目のポイント)、理想が実現できることを示さなければなりません(2つ目のポイント)が、そのためには気配りできることが重要です(4つ目のポイント)。
 リスク管理(リスクを取ってチャレンジするためのリスク管理)の観点から見た場合、熱狂をツールにする場合でも、しっかりとリスクをコントロールしていることの重要性が理解できます。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 投資家である株主から経営者を見た場合、経営者の資質としては、熱狂させる熱さと、リスクをコントロールする冷静さの両方が必要である、ということが見えます。

3.おわりに
 カリスマ型の経営者は、人を鼓舞するだけでなく、実際に人を動かしていかなければなりません。現実とのギャップが大きい理想の方が良い、というのも、それだけの勢いがあってのことです。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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