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私が東京高裁に提出した陳述書(3)-逮捕事案について

私がAV事業者から訴えられた名誉棄損訴訟(控訴審)で、東京高等裁判所に私が提出した陳述書を順次公開してまいります。この(3)は、報道機関や逮捕に関わる個人の情報については、名前を伏せるためにイニシャル等に改変しています。また、利害関係人に配慮し、不特定多数に伝播しないよう、一部有料記事とさせていただきます。

第3  逮捕事実に対する私の認識
1 201×年×月の逮捕は、撮影会社の代表者が被控訴人(原審原告、以下原告といいます)、プロダクションが「D」です。そこで、私がAVプロダクションであるDについて認識していることをお話します。
 ヒューマンライツ・ナウとPAPS、ライトハウスではたびたびAV出演強要問題でイベントや院内集会を開催し、被害を社会に訴えるとともに、相談者の守秘義務を尊重した形での情報交換を重ねていました。
 支援団体との情報交換で、悪質なAV強要の被害事例が多いということでしばしば話題に上ったAVプロダクションがDでした。
 AV出演強要の被害者がD関連で警察に相談に行っているという話もしばしば聞いており、警察による摘発も続いていました。
 2016年10月、Dを含む6社のAVプロダクション関係者12人が2013年9月30日から10月1日にかけて、神奈川県内のキャンプ場にそれぞれの社に所属する女優計6人を派遣し、AVの撮影に参加させたとして書類送検されました(最終的には不起訴、乙21)。 

 報道で、「このAV撮影に参加した女性が昨年12月、出演を強要されたと同庁に相談していた。」(乙22) と紹介されているとおり、この作品に出演させられていたうちの一人は私の依頼者であり、出演強要の被害者でした。


(略)
   また、2013年3月には、無修正のアダルト動画の撮影現場にAV女優を派遣し、動画サイトでの配信を手助けしたとして、警視庁と静岡、愛知両県警がわいせつ電磁的記録頒布ほう助容疑で、当時のD社長I 氏と今回逮捕されたY氏を逮捕しています(乙23)。 


 無修正のアダルトビデオの販売頒布は日本の刑法では違法であり、(略) 出演させられた女性を刑罰に処せられるリスクにさらすという点でも極めて悪質です。
 2018年1月にD関係者と原告が逮捕される少し前も、支援団体がDの被害にあった女性と一緒に警察に相談に行き、被害者の訴えを受けた警察が積極的に動いている様子であることを私は伝え聞いていました。
 このように私は、原告の共犯者として逮捕されたDが関わる女性に対するAV撮影および撮影の派遣が女性の犠牲と苦痛を伴い、悪質なAV出演強要の被害を訴える声がしばしば出されていることについて、報道、支援団体からの情報提供、依頼者の訴えを通して認識していました。


2 201×年E月F日、X新聞社のR記者から「AV出演強要被害問題について取材したい」との電話が私の事務所に入りました(以下略)。

 そこでE月H日だったと思いますが、私は事務所でR記者の取材に応じました。私はAV 出演強要の被害やこれまでの取り組みについてお話をするとともに、AV出演強要被害については被害者の訴えにも関わらず、刑事事件としての立件が難しく、加害者が刑事訴追されずにきたことを説明し、

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