はじめて海外に留学する皆さんへ

オレゴン州に身一つで留学している高校生の体験記にすごく心を打たれた。同質で安全な環境を抜け出すと苦しいことも多いんだけど、結局自分の考え方次第だし、高校生でもブレイクスルーできるんだから社会人でもできるということを書く。

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僕もこの高校生と同じプログラムでロサンゼルスに留学した。保守的な田舎で育った16歳には刺激が強くて、始めの半年は友達も作らず引きこもって過ごした。上手くいかないことは全部環境が悪いと思ってた。自分にはこの国は合わない。日本に帰ったらもっとチヤホヤされるし、もう少しの我慢。

でも帰国が見えてきたある時、ふと「このまま帰ったら田舎の友達に笑われる」と気づいて、何も挑戦していない自分が猛烈に恥ずかしくなったし怖くなった。

学校の連絡網を手にとって、何かに取り憑かれたように片っ端からクラスメイトに電話して「いま空いてる?遊ばない?」と誘って回った。ほとんど喋ったことない人には怪訝な声で断られたけど、その中で一人、クラスの人気者が「ちょうどうちでみんな集まってるから来なよ」と誘ってくれた。

クラスのカッコいい友達の中に入ってピザとコーラを口にしながら、アカデミー賞かなんかの授賞式を見てみんなで盛り上がった。テレビの内容もなんで盛り上がってるのかもいまいち分からなかったけど、半年経ってはじめて自分の居場所が認められた気がして最高に楽しかった。

帰国までの半年間は、暗くみじめだったその前の半年を取り返すみたいにクラスメイトと遊びまくった。友達の輪も広がり、いつか自分もクラスの人気者の一人になってた。免許取り立ての友達の車でロードトリップにいったり、親が留守にしている友達の家で朝までパーティーしたり、気がある女の子とプロムに行ったり、留学のいい思い出はほとんどこの半年にできた。

帰国する時には、自分にはこの国の水が合ってる、絶対に戻って来たいと思うようになっていた。帰国した羽田空港で「帰りたくなかった」と大泣きして、田舎からわざわざ迎えに来た家族にドン引きされた。その後の人生も色々あったけど、この留学がいまだに人生で一番楽しい1年だったし、これがなければ絶対に今ここにいないと断言できる。

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冷静に振り返ってみると大したことない話なんだけど、自分の中ではものすごい勇気をだして電話帳を手に取ったし、あの時怯んでたら普通に「つまんない留学だった」で終わってたと思う。

冒頭の高校生も、当時の自分も、なんなら今の自分でもしょっちゅうそうだけど、居場所がないことは恥ずかしく思えるし、自分から動くのはダサいし、留学前の居場所が恋しくなることもある。でも結局、これを乗り越えて「いい留学だった」にするためには自分の恥に向き合って動くしかない。周りでMBA来てよかったって言ってる人は一歩踏み出してるし、MBAなんて来なきゃよかったなって言ってる人の多くは恥に蓋をして終わってる気がする。ここにほとんど差はなくて、誰にでもどちらにも転ぶ可能性がある。

それともう一つ、このブレイクスルーの経験には中毒性がある。いい歳して今MBA留学に来てるのも、たぶんもう一回壁を乗り越える経験がしたいからだと思う。振り回される家族はたまったもんじゃないと思うけど、今日もいい感じに恥ずかしい経験を積んでいる。

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