見出し画像

〜懐かしき名勝負〜帝京高校ー日大三高(2019年秋季東京都大会準々決勝)

帝京 |000|002|000 = 2
日大三|000|010|000 = 1

東京都が誇るビックカード

どの都道府県にも、いわゆるゴールデンカードと言われる対戦カードがあるのではないか。積み上げてきた実績、しのぎを削りあえるライバル校の存在。その対戦を観ようと多くの観衆が球場に足を運ぶ。東京都でいえばこの両校の対戦にそのような雰囲気を感じる。長きに渡り東京都の高校野球界をリードし、全国にもその名を轟かせるほどの強豪校。自校の歴史をその手で作り上げてきた名将の存在。

そして帝京高校は東東京、日大三高は西東京であるが故に、春と秋にしか実現する可能性のないという点もまた魅力的だ。そんな(個人的)ゴールデンカードで神宮第二野球場の歴史に幕が下されるというのだから、物事の巡り合わせには運命のようなものを感じる。

強打のイメージのある両校だが、この試合はロースコアの守り合い。ピンチでド派手なダイビングキャッチが飛び出すなどして中盤までは互いに無得点となった。狭い神宮第二球場ということもありホームランが非常に出やすいのだが、そうはさせない配球をしてくるあたりに、この球場での戦い方を熟知しているのだと感じさせる。先に均衡を破ったのは日大三高だったが、すかさず帝京高校が逆転。特に勝ち越し点を奪ったスクイズは同点に追いついた直後の一球目で、相手に落ち着かせる暇を与えない見事な攻撃だった。正直、観ている方も危うく見逃しかけるほどのスピーディーさがあった。

試合内容もさることながら、この試合は特にベンチと応援スタンドの一体感のようなものを両校ともに感じた。どちらかだけが目立つのではなく、学校として立ち向かう姿勢。こういう雰囲気を感じる学校は粘り強い印象があるし、何より応援したくなる。

ありがとう、神宮第二球場

1点リードを帝京高校が最後まで守り切り、接戦をものにするという形にはなった。神宮第二球場の締めくくりに華を添える好ゲームだったと思う。両校ともこの大会は苦労しながら勝ち上がってきた印象があったが、それさえも最後の神宮第二球場で顔を合わせるための伏線だったのではないかと思えてしまう。(もちろん本人たちは一戦必勝のはずだが)

画像1

試合のテンポの良さ、好プレーの連続、球場を最高潮に盛り上げるブラスバンドと応援団の存在もあり、「いつまでもこの試合が続いてほしい」という思いさえ湧いてくるような試合だった。特に東京都は夏の大会以外もブラスバンドを動員していただけるのがありがたい。

狭くて、グラウンドと客席の距離が妙に近く感じる球場。手書きのスコアボードも最近では珍しくなっていた。観客動員数は5,000人ということで、私にとってはどんなアイドルのコンサートよりもプレミアだ。真上から見下ろすような感覚になる2階席が個人的には好みだった。ゴルフ場と併用されている球場なんて他にあるのだろうか。

試合前は高校野球全日程終了の式典も行われたが、こうした場に立ち会えたこと、そして何より、素晴らしい試合が観れたことに感謝の気持ちでいっぱいだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?