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1つの場所には居られない

去年は初めてフィンランド、スウェーデン、そしてグアムに行った。そういえば毎年、どこかしら新しい国に行っている気がする。おかげで貯金はたまらないけど、それはまた別の話。

先週、今年はオランダに行こうと思ってることを友人に伝えたら「またどこか新しいところ行くの?」と聞かれて、そのことがなんとなく頭に引っかかった。
確かに同じ国に行くことよりも、知らない場所を探している。それはなんとなく、好奇心というよりも自分とは無関係な場所を探していることに近い。

好きなお店の1つに、近所のコーヒースタンドがある。
少ないときは月に一度もいかないし、多いときは週に3回は利用する。
だいたい、朝のシフトはいつも決まった店員さんだ。多分、向こうも覚えてくれているのだろうけど、いつも対応を変えず、注文を聞いて、お釣りをくれて、とても自然な「ありがとうございました」と一緒に、香ばしいコーヒーが出てくる。

この距離感が、私にはとても気持ちいい。内向的な性格のせいもあるのだけど、多分、シンプルな関係が好きなのだと思う。
コーヒーを売る人と買う人。

シンプルが好きなのに、ルーティンは苦手。
シンプルが好きだから、干渉は苦手。
例えばある日、店員さんが「お久しぶりですね」と声をかけてきたらきっと居心地が悪くて、通わなくなると思う。
よく行くけど、どこまでも無関係な場所。

先日アメリカのベンチャーで、うちのパートナー会社のCEOと少しだけ話す機会があった。事業が軌道になり始めてとても忙しいけど、2月には子供達にサプライズでアナハイムのディズニーに行くんだ、と話していた。

大人になると、誰もそんなサプライズはしてくれないけど、いいんだ、子供達が喜ぶ姿を見るだけで最高だよ、と話す姿がとても眩しかった。

大人になることは、いろんな役割が増えていくことだと思う。
私は社員であり、納税者であり、市民であり、恋人であり、子供でもある。
役割が多くなった分、悲しいこともあれば、確かに嬉しいこともある。

だから時々、その役割を忘れるために、私は東京を、日本を離れる。
住んでいる人と旅行する人、というシンプルで、無関係な場所に浸る。

旅行は、大人になった私が自分に送る、プレゼントなんだと思う。


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