ぼかぼかの五平餅
「ぼかぼかだって、言われたよ。」
息子が、そう言いながら、五平餅をわたしに差し出す。
買い物から戻り、いろいろしてから、ダイニングテーブルに、向き合って座った。「いただきます」と、買ってきた五平餅にかぶりつく。うん、ほんとだ。まだ、ちょっとあったかい。
この「ぼかぼか」は、「ほかほか」ということ。わたしの住む愛知県の尾張地方(名古屋含む)の方言。できたて、「ほっかほか」は、「ぼっかぼか」となる。でも、ほか弁は、ここでも、ほか弁。ぼか弁ではない。まぁ、ぼか弁だと、あんまりおいしそうじゃないね。
また、17才の息子は、この「ぼかぼか」はあまり使わない。言われたら、わかるという程度。それが、少しさみしい。
わたしの夫は、関西出身なので、うちで使う言葉は、標準語寄り。子どもたちの前でも、あまり方言を使ってこなかった。もったいないことをしたもんだ。
最近、夫に「?」という顔をされつつ、今更のように方言を使っている。夫には、丁寧に解説する。愛知に来て33年の夫。ずいぶんと、こちら訛りになってきているが、まだまだ知らない言葉も多いみたいだ。
息子は、とくに何も言わないから、嫌というわけではなさそうだ。また、息子にはだいたいわかるみたい。ここで育っているから、当たり前だろうか。
地元の言葉、なくなってほしくないんだ。受け継いでとは、言えないけれど、記憶の片隅には、置いておいてほしい。
形を変えながら、地元の言葉が、ゆるゆると
続いていきますように。
五平餅とは…
うるち米をしっかり潰して、餅のような状態にし、それを平たくして串に刺し、味噌ダレなどをつけて、香ばしく焼いたもの。木曽・伊那地域のほか、岐阜県、富山県、愛知県、静岡県などの中部地方の山間部に伝わる郷土料理だそう。わたしの住む愛知では、味噌だれに胡桃が入っているのが多いですね。好物なので、時々、食べます♪