自分を信じよう
パートでのこと。
わたしは、小学校の教室で、放課後の数時間、安全に留意しつつ、小学校の低学年の子どもたちの自主的な活動を見守る仕事している。日によってまちまちだが、子どもたち30人ほどを、パート2人で見守ることになっている。
来年度から、わたしが中心となって、ひとクラスを仕切ることになった。週3勤務であること、他にもいろいろとあって、そうなる。
パートを始めて半年ほど。慣れてきたが、まだ、一年ぐるりと働いてはいない。また、一番大変だという、4月5月を経験してもいない。考え始めると、不安しかない。良かれと思って、お仲間はアドバイスくださるが、きけばきくほど不安が積み重なっていく。
そんなとき、いつも一緒に働く先生が、急な用事で、お休みされることになった。そういうとき、ピンチヒッターの先生が来てくださる。今まで、サブ的な気持ちでいたけれど、当たり前だが、わたしが仕切ることになった。
当日の朝、それがわかり、不安な気持ちでいっぱいになって、落ち着かない。昼までに、今までの仕事の流れや、気をつけたいこと、絶対に忘れてはダメなことを書き出そう。
そう思いつつ、息子と病院へ行き、買い物もし、気づいたら、もうお昼近く。慌てて、準備をする。書き出すだけでなく、どんな流れになるか想像して、できるだけ対策しておきたい。
工作や折り紙をしたい子がいるかもしれない。けれど、教えながら、クラス全体を見守るのは、今のわたしにはできない。だから、工作の予定を変更して、子どもたちでも簡単に折れるハートの折り紙に変え、それを画用紙に貼って、絵を描いたり、切り抜いた紙を貼ったり、自由に作ってもらおう。忘れちゃいけないことのチェックリストも作った。
そしてそして、今日は帰ってきたら、絶対に疲れている。だから、夕飯も変更して、簡単なものにする。冷凍してあったさわらで照り焼きを作りつつ、チャプチェがすぐにできるよう、材料を切っておいた。後は、炒めるだけ。残りものもあるし、これでよし。ご飯の炊飯は、息子に任せる。それから、お昼に、味噌ラーメンを作って食べた。
準備万端にしたら、ちょっと落ち着いた。後はやるだけ。そうだ、この不安な気持ち、子どもたちに伝わらないようにしなくっちゃ。いつもいる先生がいないことで、不安に思う子だっているかもしれない。わたしは、どっしりかまえていないと。これは、息子に接してきて、鍛えられているから、できるぞ。いつも通りいつも通り。
14時過ぎに学校に着き、まずは仕事用の携帯電話を確認。メールが一件、入っていた。確認して、返事をすぐに送る。準備を進めていたら、ピンチヒッターの先生がみえた。お会いしたことがある方だった。ちょっと、ホッとする。
文具や遊具を出し、受付の準備をし、子どもたちを迎え入れる。ピンチヒッターの先生には、子どもたちを見守っていてもらうことにする。いつもは2人で分担する日頃のことは、チェックリスト見ながら、ひとりでこなす。
受付終え、全員の子どもたちの参加不参加を確かめたら、始めの会を日直さんたちの側でサポートする。ピンチヒッターの先生を紹介して、自主学習時間になった。子どもたち、宿題に熱心に取り組んでいる。ある子が、「折り紙やりたい」と言ったが、「自由時間になるまで本を読もうね」と伝える。
自由時間になった。工作がやりたい女の子たちが何人かいたから、用意していたハートの折り紙を最初だけ教えながら、一緒に折った。後は自由に作ってもらう。ブロックやオセロ、折り紙、線つなぎのプリントをする子もいる。まだ、宿題が終わらない子たちは、そのまま宿題をやっている。
ブロックで、取り合いになりかけ、仲裁に入ったり、折り紙でわからないところを手伝ったり、宿題をやりたくない子を励ましつつ、教室をまわる。そんなことをしていたら、あっという間に片付けの時間になった。
「今は片付けしたくない」って言う子が、必ずいる。「また今度ね」と言いつつ、片付けを促す。遅い子の分を、周りの子が手伝ってくれた。
終わりの会を終え、下校のために、廊下に並ぶ。まだ、帰る準備ができない子がいる。なるべくその子に任せて見守り、どうしてもできないことは手伝う。ランドセルが閉まらない。「ちょっと入れ過ぎだと思うよ」と言いながら、閉めるのを手伝った。ランドセルには、体操服の袋も入っている。
その子も合流して、みんなで昇降口に向かう。下駄箱でみんなと挨拶して別れ、違うクラスの先生と下校を見守った。それからは、教室に戻り、片付けだ。ピンチヒッターの先生が文具や遊具をひとまとめにしてくださっていたから、簡単に片付いた。
活動記録を記入して、窓の施錠、エアコンオフ、電気や換気扇を切り、教室を施錠する。ピンチヒッターの先生に、お礼を言い、先に帰っていただいた。鍵を職員室にお返しして、今日の仕事はこれでお終い。
できた。
今日はハプニングもなく、穏やかだったから、幸いだった。じわじわと染み込んでくるような、達成感がやってきて、満ち足りた気持ちになった。これなら、来年もできるかもしれない。もっと、自分を信じよう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?