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海鮮丼

先日、久しぶりに懇意にしている神社に行った
懇意の使い方を間違えているかもしれないけれど
よく行ってる
というとなんだか軽々しいような気がする

色んなところに行くよりも
一箇所に行って顔を覚えてもらわないと
みたいなのを以前に何かで見ただか聞いたりしてからは
同じところへ年に数回行っている

行くたびに清々しい気分になるので
なんだかパワーなるものを貰っている気がする
そして行ったらかなりの確率でひいているおみくじの内容も
そのときの状況に一喝与えてくれている言葉のような気がしている

今回、おみくじは大吉だった
前回、前々回などは末吉だったり小吉だったりなのでお久しぶりの大吉

気分良く神社を後にして
行くたびに気になっていたご飯屋さんに
少しだけの勇気と共にドアを横へとスライドさせた

見るたびにお客さんが何人かいたので
めちゃくちゃ空いているとは思っていなかったけれど
それでも予想していたよりも混んでいてちょっとだけひるんだ

初めて入るご飯屋さんへ1人で入るとき、最初の懸念は入店したことに店員が気がつくか、だ

ちょうど厨房の方で何かやっていたり、ホールを忙しなく右往左往していたりすると気がつかれず、すいませんと言う私の声はお皿の音や何かを炒めている音や会話などの喧騒に溶けこんでしまい、それで生まれた羞恥によって2回目のすいませんは憚れてしまう

私の存在は入ったと同時にすんなりと認知してもらえ、気を許した私は聞かれもしていないのに人差し指で1を作った

案内されたカウンター席は5席ほどで、
迷うことなく左から2個目の席に座る
迷わなくてもそこにしか空席はないからだ

座ろうとしている間に
ご注文はこのQRを読み取ってお願いします
と、机上に置いてあるQRコードの方を手で示しながら言った店員は
すぐさま急ぎ足で厨房の方へ戻る

予想もしていなかったQRコード読み取りでの注文
今までも何回かはそういうお店を利用したことはあるけれど、さらに最近ますます増えているのだなあと感じる

仕事帰りの夕方過ぎ、モバイルバッテリーなどを持ち歩かないし仕事場でも特に充実したりもしない私のケータイはすでに20%台

あぶなっ
と思いながらカメラモードにしてQRコードを読み込む
お店のWi-Fiのパスワードも下に記載されていたけれど、通信無制限契約の私はそっちよりも充電残量のが大事なのである
お店外のどこかにQR読み込んでの注文方法
となります、とか記載しておいてほしいなと思いながらメニューを見ていく
以前から気になっていた海鮮丼を頼もうと入る前から決めていたけれど、メニューをざっと一通り見てみた

多数の一品料理、本日のおすすめ、肉系の料理もある
焼き魚に惹かれたけれど
結局予定を変更せずに、海鮮丼をカートに入れて注文ボタンを押す

ケータイをいじりながら、左の人を横目で見てみると野菜炒めらしきものを食べていて
なんだかそれも美味しそう

しばらくすると大きな四角いお盆に載せられた海鮮丼が運ばれてきた
どんぶりが想像以上に大きく、さらに味噌汁、イカの煮物が入っている小鉢、漬物まである
これで税込み1000円だなんて
想像以上に豪華でお得な料理の前で
この店を選びこのメニューを選んだ自分を誇らしく感じる

小皿に机上にあった醤油を入れ、海鮮丼の端にそえられたと言うのはそぐわないほどに随分たんまりとあるわさびを少し取って醤油に混ぜる

サーモンやエンガワ、まぐろや鯵などはわかるけれど、ほぼ魚の名前がわからない私は一番最初に白身で少し光っている名前がわからない魚を醤油につけ、口の中に入れた

弾力がある身を噛むと少しの甘みが口の中で膨らんだ
早く消えてしまわぬように
ゆっくりと噛んでじっくり味わう
ひと切れでも充分満足感を得られるほどに身は厚い

当たりだと感じる
この店に
この料理に
この値段に
これを選んだ自分に

口の中にまだ残っている身を最後に飲み込む前に
下に現れていたご飯も口に入れる

ん?
酢飯かな?
酢飯だよね?

なんだか違和感を感じなからも口の中に入っているものを全部飲み込んでから
さっきの白身魚の隣の別の白身魚を食べる
やっぱり美味しい
そして先ほどと同じようにご飯

やっぱり酢飯だよなあ
でもなんかご飯がかたいような
お魚はとても美味しいのに

これはきっと
ご飯が美味しくない
認めたくないけれど
これが違和感

お米自体が美味しくないのか
酢飯が美味しくないのか
時間経ちすぎて固くなってしまい美味しくないのか

とにかく美味しくない

お魚が美味しかった分
この衝撃は大きかった

お魚は美味しいのに
酢飯が足を引っ張っている

お魚は美味しいのに
酢飯のせいで評価がさがる

お魚は美味しいのに
酢飯のせいでエトセトラ

組合わせって大切
タイミングも大切

上手くいかない海鮮丼
すれ違う魚と酢飯

なんだか大切なことを改めて教えてくれた気がした海鮮丼

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