見出し画像

ぜひ家族で見てほしい映画ランキング1位「ジュマンジ」

前の記事で取り上げた「A.I.」について、自分は「母子愛がテーマの一つであるにも関わらず親子で見るのはオススメできない作品」という不名誉な評価をしてしまいました。一応最後に代替案として「インターステラー」を観るようにとフォローしましたが、それだけでは何となく不十分な気がしたので、追加でもう一つ「親子・家族で見てほしい映画」のオススメ作品を紹介させていただきます。

皆さんのおかげで、自分史上最多のスキをこの記事で頂くことが来ました!
今後とも宜しくお願い致します!

今回の記事で紹介するのは、1995年に公開された「ジュマンジ」です。
ジュマンジと聞いて、恐らく皆さんが最初に連想するのは2018年に公開された「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」だと思います。主人公のアバターとして作中に登場したドウェイン・ジョンソンのインパクトや熱演は、近年のアドベンチャー系映画の中でも特に目を見張るものがありましたよね。
しかし、ロック様が主演を務めたその作品は実のところシリーズの2作目という立ち位置であり、その23年前に1作目として発表されたのが、今回紹介する方の「ジュマンジ」なのです。

時を経て物語が再び動き出す、「ジュマンジ」の本編と奇跡的にシンクロを見せているかのようなプロセスを見せている本シリーズですが、今回はその第1作目について、「世界のアソビ大全51」が欲しいのに全くニンテンドースイッチが手に入らない自分が、鑑賞して思ったことを色々と感想としてまとめていきます。

ジュマンジ

100年前に封印された奇妙なボードゲームを手に入れた少年アランは友だちのサラとゲームを始める。だが、ボードのメッセージ通りの事が起きた上、アランはどこかに消えてしまった。それから26年後、売りに出されていた屋敷に移り住んできた幼い姉弟ジョディとピーターは屋根裏部屋でそのゲーム“ジュマンジ”を発見。実は26年前のゲームはまだ続いていたのだ。そしてゲームから出現した猛獣たちによって静かな町はとんでもないパニックに襲われる。ルールに従って今や大人となったアランも復活、事態を収拾するにはゲームを終わらせるしかない事を知った3人は、残ったメンバーであるサラの元を訪れる……。(映画サイトより引用)

少年少女の心震わせる製作・キャスト陣

まずは例によって、監督とメインキャストについて紹介していきます。

本作で監督を務めたのは、「スター・ウォーズ」旧三部作で特殊効果を担当した経歴を持つジョー・ジョンストン
監督作としては本作の前だと「ミクロキッズ」、後だと「ジュラシック・パークⅢ」「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」などが有名どころですかね。いずれも本格エンタメ作品として著名な映画であり、本作が観ていて楽しめる作品となっているのも納得です。加えて、彼の特殊効果により、「ジュマンジ」に登場するジャングルのギミックはどれもスリルと迫力に満ちた、とても優秀なアトラクションとなっています。

本作の主人公であるアランを演じたのは、名優として知られるロビン・ウィリアムズ。子供のスピリッツを持つおっさんという江戸川コナンを逆転させたような役柄を完璧に演じています。
1980年に「ポパイ」で映画デビュー、その後「いまを生きる」「ミセス・ダウト」などの人気作に次々と出演し、本作の後に「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」でアカデミー助演男優賞を受賞しました。
近年の代表作ですと、やはり「ナイトミュージアム」シリーズのセオドア・ルーズベルト大統領役が最も印象に残っています。顔も本人と結構似ています。スターリンと岡田真澄くらい似ています。そして恐らく、ナイトミュージアムの出演も今回の「ジュマンジ」の成功があったからではないかと思います。それこそスターリンと岡田真澄くらい、この2作もテーマに親和性がありますからね。

ヒロインのサラを演じたのは、「ベートーベン」シリーズで当時有名だったボニー・ハントです。
本作出演後、あの感動作「グリーンマイル」にもメインキャストとして出演する一方、1998年にピクサー映画「バグズ・ライフ」に声優として参加して以降、同スタジオ作品の常連となり、「カーズ」「トイ・ストーリー3」などにも声優として参加しています。
本作でも彼女のコメディセンスは光っており、個人的には猛獣や自然の脅威に対してのリアクションが深刻過ぎず適度に笑えるものになっている辺りがさすがだと思います。

1995年パートの主役の1人であるジュディを演じたのは、本作公開の前年に「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」で脚光を浴びた、キルスティン・ダンスト
本作の後に主演作「チアーズ!」がスマッシュ・ヒットを記録、さらに彼女の評価を上げたのはサム・ライミが監督を務めた「スパイダーマン」シリーズのヒロイン・MJの熱演です。この作品で人気子役から本格派女優への進化を成し遂げた彼女は、その後「マリー・アントワネット」「メランコリア」等いくつもの代表作を持つ人気女優となりました。

その他、アランの父親役には後に「タイタニック」の社長役で知られるジョナサン・ハイド、ジュディの弟・ピーター役には後にディズニー映画「美女と野獣」にてチップの声を担当するブラッドリー・ピアース、アランの古くからの知り合いであり現地の警官でもあるカール役には、「ストリーマーズ 若き兵士たちの物語」の出演等で有名なデヴィット・アラン・グリアがそれぞれキャスティングされています。

バリエーション豊かなジャングル現象

そして肝心の内容ですが、本作は単純に「現実ではありえないジャングル内の現象に主人公たちが立ち向かっていく」というアトラクション的な映画としても、頭カラッポにして十分に楽しめる作品となっています。

サルやコウモリ、車の屋根を貫通させるほどの針を持つ蚊など比較的規模が小さいものから、百獣の王・ライオンやサイ、ゾウらの大暴走などの強烈なインパクトを残す猛獣たち、さらには肉食植物や爆弾低気圧のモンスーン、地割れを起こすほどの巨大地震など、もはやジャングルでも珍しいんじゃないかと思ってしまうほどのギミックまで、次々に登場するので観ていて全く飽きが来ない作りになっています。個人的には、現実世界を縦横無尽に暴れ回るサル軍団がコメディリリーフとしても素晴らしい働きをしていてお気に入りです。

そして今から25年も前に、この魅力に満ちたギミックの数々をCG技術で実現させたジョンストン監督には本当に拍手しかないです。さすが特殊効果畑の出身ですよね。
動物たちのデザインも、ものすごく現実に寄せたわけでもなく若干マンガ的な風味を残しながら再現している点も、ジュマンジのギミックとしての動物たちというところが出ていて良いですし、家族向け映画としても良い塩梅のデザインだと思います。リアルすぎるとただのアニマルプラネットになってしまいますからね。(笑)

アニマルプラネット

ギミックに関してもう一つ上手いと感じたのは、サイコロを転がしてマスに止まった際に表示される「起きる現象を説明するメッセージ」です。
そのまんま「サルが出るぞ」とか「百獣の王あらわる」ではなく、原語読みでもとても語呂が良くしっかり観客の興味を引くような文章で、それぞれの現象を上手に説明しているので、その後登場するギミックへのワクワク感がより増してきます。吹き替え版の文章も良いですが、ここに関しては是非、画面に登場する英文を読んで堪能して頂きたいです。

また、この映画はアドベンチャー的要素だけでなく作品全体がコメディ要素強めに描かれているので、そういった目線でも楽しめます。
特に、騒動とはほぼ無関係なのに何かとジュマンジに巻き込まれてしまう、カールのやられっぷりが面白いところですね。パトカーをサルに乗っ取られるくらいならまだしも、そのパトカーを肉食植物に丸ごと持っていかれたり、ようやく騒動の原因であるアランの家に到着したと思ったらモンスーンによる洪水に巻き込まれてワニとご対面したり、本当に彼の薄幸っぷりには同情しかできないです。
ちょっとリアクションが過剰な場面もありますが、本作の全体的な雰囲気とマッチもしているのでそこまで観ていて気になるものではなかったです。

コメディ的な目線だともう一つ、中盤で展開されるデパートでの攻防戦も良かったです。デパートの商品をうまく使って戦うところ、特にピーターが作ったロケット型即席兵器のシーンは観ていてとても楽しめました。お前いつそんなものを仕込んでいたんだよとか、被害額がエグイ事になりそうとか、ツッコミたくなる点は色々ありますが、そんな事をどうでもよくさせるほどとにかく楽しいシーンだと思います。まあ、ここのシーンはコメディ映画の代表作「ホーム・アローン」シリーズの影響も大きく受けているでしょうし目新しさはそこまでありませんが…

家族を取り戻すための大きな壁「ヴァン・ペルト」

しかし、本作は単なる子供向けの娯楽映画ではなく、しっかりとしたテーマを軸に据えた「家族映画」としても素晴らしい出来だということを、ここで説明させて下さい。

プロローグで、主人公・アランは自分の家系についてコンプレックスを抱いており、その由緒ある家系に関係した自身の転校にも乗り気ではありませんでした。その結果、父親と言い争うこととなり和解もできないままジュマンジに吸い込まれてしまいます。そして26年後、ようやく現実の世界へ戻ってこれた時には両親共に亡くなっており、しかも彼が行方不明になって以降、父親は全財産をつぎこんでアランを捜索し、経営していた工場も全て倒産してしまうという悲劇的な結末を迎えていたことを知るのです。失くしてから初めて、大事なものが本当に大事だったことに気付くという切ない展開ですね。中盤でアランが「ごめんよピーター、26年もジュマンジと付き合う内に言ってる事がパパみたいになってきた」的なセリフを言う場面がありますが、これもアランが父親の真意を理解し始めたことを象徴している場面かもしれませんね。
また、アランをジュマンジから救ったジュディとピーターも1年前に両親を事故で失っており、その悲しみから完全には立ち直れていないという設定があります。いわばこの3人は、「家族を失ったことでその大切さを認識し、その後悔や悲しみから抜け出せていない」という同じ括りの仲間でもあるのです。アメトーークじゃ絶対できない括りですね。

ジュマンジが召喚した現象の一つに、ヴァン・ペルトという老いたハンターの存在があります。このじいさんはアランがジュマンジの中にいる時から、やたらと彼を付け狙って射撃を仕掛けてくるとんでもない熟年ショットガンなのですが、大事なのはこのヴァン・ペルトを演じているのが、アランの父親も演じているジョナサン・ハイドだという事です。

ヴァンペルト

本作の終盤、アランはずっと逃げてきたヴァン・ペルトと対峙します。彼は「怖いけど、立ち向かわなければならない」とヴァン・ペルトに語り掛け、それに対して熟年ショットガンも、「少しは男らしくなったな」とアランを認めます。そしてヴァン・ペルトの演者はアランの父親と同じ…
これはアランがそれまで避けてきた「父親と正面から向き合うこと」に一歩踏み出して、精神的に明確な成長を見せたことを疑似的に表すシーンだと考えられます。いわば「ヴァン・ペルトとの対決」は、避けて通れない立ち向かうべきこととして「アランの父親との対話」をメタ的に表現した展開でもあるのです。だからこそ、立ち向かうべき2人を演じる役者さんを同じ方でキャスティングしたのだと考えられます。
実際、ヴァン・ペルトとアランが最後に正面から対峙した段階でゲーム「ジュマンジ」は終わりを迎え、なんと最初にアラン達がゲームを始めた1969年まで時間が巻き戻るという「僕だけがいない街」もビックリの超展開が発生してアランは父親と再会し、転校のことについてしっかりと話し合うことを約束します。ジュマンジの真のゴールは「アランの成長」であり、その事による彼の心境の変化により、父親とありのままに向き合うことができるようになったのがよく分かる、感動の場面だと思います。

また、アランとサラが「ジュディ&ピーターの両親の事故」を未来で知っていたことにより、新しいタイムラインでその2人の家族を救うことができたラストの展開も、本作のテーマとも合っていてなお且つタイムループという終盤のサプライズを十分に生かしている、まさに理想的なハッピーエンドと言えるでしょう。
いわば「ジュマンジ」という映画は、アランたちが「ジュマンジ」に果敢に立ち向かったことで成長し、奪われた家族を取り戻して新しい人生への切符を手にする、そんな「家族の映画」なのです。だからこそ、是非とも家族で親子で見て頂きたい映画として、今回の記事で推薦させて頂きます。

サラの行き当たりばったりさが心配

ちょっと気になった点を挙げると、ヒロインであるサラの心情変化を上手く伝えられていないのが目立っていた気がします。

サラもまた、少女時代に経験したジュマンジが原因で人生を大きく狂わされている被害者として登場します。ジュマンジ自体やそれに吸い込まれていくアランのことを忘れるのに2000時間の精神科治療を要したと言っていますが、その苦労が全く見えてこないのは何故でしょうか?しかも彼女は1995年では占い師をやっているらしいのですが、それが生かされるシーンも無く、しかも精神科治療していた人間が、自分の精神に大きく負担をかけそうで、しかも相手の精神を不安定にしそうな仕事を選んでいて大丈夫なのかと心配になりました(笑) きっとこの世界には、オセロ中島やX JAPAN ToshIのような被害者はまだ存在していないんでしょう。

その上、サラは2000時間を費やして忘れようとしたジュマンジに、アランの少しばかりの説得でまた参加しています。もちろん渋々なのは彼女の様子を見れば分かるんですが、個人的にはもう少し彼女が参加するまでのプロセスを丁寧にやるべきだったと思います。あれじゃあサラの葛藤が凄まじくちっぽけなものにしか見えませんでした。

サラがアランといい感じになる恋愛要素なんかもっと適当ですよ。
本作を観た限り、アランがサラを明確に助けるのってモンスーンが発生したついでに出てきたワニのシーンが初めてなんですが、その後すぐに2人とも良い雰囲気になって接吻しかけてるんですよ。あまりにも分かりやすく良い雰囲気なのでジュディとピーターもちょっとニヤケちゃっててそこは笑えるんですが、今日までずっと現実として受け入れていなかったアランと唐突に恋に落ちるのはちょっと話がいきなり過ぎでしたね。しかも新しいタイムラインでは結婚しておめでた状態になっているわけなので、余計にサラの心情が分からなくなります。「スピード」でキアヌ・リーヴスが「特殊な状況で出会った男女は長続きしない」って言ってましたがこの2人は長続きしちゃってますからね。もっとも、サラがジュマンジをプレイする前からアランに気があったとなれば事情はちょっと変わりますが…

サラ以外にもう一つ、途中でピーターがズルをしてゲームをあがろうとしたペナルティで見た目がサルになるという展開があるんですが、これについては丸々いらなかったと思います。ピーターがサルになったことが何かの伏線になっている訳でもないですし、そもそもピーター自身がイカサマをするような性格だとは本作を観る限りとても思えません。せめてどこかでそれらしい前振りが用意されていれば良かったのですが、それも特に見当たらないのでこの展開自体が特に繋がりの無い、カットしても構わないようなものになっているのが残念です。

続編は気にしなくてもいいので是非見てほしい

最後は蛇足だったかもしれませんが、いずれにしろ家族全員で鑑賞するのに相応しい名作となっているのが本作「ジュマンジ」です。
シリーズ3作目である「ジュマンジ/ネクスト・レベル」公開の最中に金曜ロードショーで2作目が放映されていた記憶がありますが、どうせなら1作目も合わせてやってくれたら完璧だったのに…と半年ほど経った今でもボヤいている自分がいます。

はっきり言って1作目と2作目の間にそこまで関連性はないので別々に見ても問題はないですし、何なら2作目以降はジュマンジの名前を借りた別物だと思って観ています。あれは「ジュマンジ」では無いです。「ソードアート・オンライン」です。「レディ・プレイヤー1」です。あと2作目は面白いけど3作目は期待外れでした。

ということで、これから本作を観る御家族には是非この映画単体で見てほしいという想いが溢れる、そんな「ジュマンジ」という作品ですが、もちろん家族でなく1人でも、友達同士でも、これから家族になりたいリア充同士でも、なんてことなく楽しめるエンタメ映画です!願わくは、日本人全員がこの映画を観て色々と感想を語り合う、そんな未来が来てほしいものですね。

今回も長文となってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。また次の記事でお会いしましょう。

トモロー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?