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生きてきた世界が違うという半分本当で半分言い訳な理由

恋愛ドラマで上手くいかない男女が「私たちは生きてきた世界が違うから」という理由を使うところをよく見る。

これは半分真実でありながら、半分はただそれを言い訳にしたいという願望に過ぎない。生きてきた世界が違うと言ってしまえば、自分では選ぶことのできない家柄や先天的な(身長とか生まれ持った能力など)外部的要因を自分と違う理由にできるから。

私はこの感情を中学時代からの女友達によく抱く。ただの嫉妬と言われてしまうとそれまでなのかもしれないけど、どうか聞いてほしい。

そもそも私の母校は巷でお嬢様学校と呼ばれる小学校から大学まであるような私立女子校だ。私は大学付属を目的に中学受験で入学したが、周りは長期休みになると必ず家族全員で海外に行くような家庭ばかりだった。家族で海外に行くなどしたことがなかった私は周りにその身分の差を感じさせないよう必死だった。

そんな彼女も姉妹で小学校からその学校へ通う、いわゆるお金持ちの家に生まれ育った生粋のお嬢様の一人だ。父親は民放テレビ局の役員で都内の高級住宅街に住み、3ヶ月に1回はハワイに行かないと死ぬが口癖でハワイ以外にも海外旅行によく行く。親のコネで姉は大手商社、彼女は大手広告会社へサラッと就職も決めた。

彼女とは中学1年からの付き合いになる。高校3年間同じクラス、推薦入試で入学した大学もたまたま学部とゼミが一緒だったこともあり、今も程良い距離感で仲良くさせてもらっている。身長が高く脚が長くてかき上げ系の髪型、海外のようなシンプルなファッション。性格は私の前ではとってもサバサバしていて、驕り高ぶることもなく良識ある人で、私のことも大切な友人と思ってくれているようだ。最近も、一人暮らしは寂しいだろうと手土産まで持って遊びに来てくれた。2人だと共通の知人と話題が多いので話が絶えず楽しい。

大学時代、彼女は体育会のマネージャーをしていたので生活の中心は部活だったし、当時の彼氏も同じ部活の同期だった。バイトはもちろんやっていないし、ゼミにもほとんど顔を出さなかったが、たまにある飲み会には絶対来ていた。就職後も広告会社の割に激務ではない部署に配属されて程々に仕事をしているらしい。

一方で私はサークルとアルバイトと学部をバランス良く生活するのがモットーだった。親からお小遣いは貰えないので、アルバイトを頑張って自分で稼いだお金で高校時代行けなかった海外に行くことが生き甲斐だった。中でもゼミは授業のコアメンバーだったこともあり、ゼミ外の飲み会もフル参加せざるを得ず、あまり仲良くない女子同士の仲を取り持つようなポジションにいた。就活もかなり頑張ったけど思う所には行けなかった上に、全く希望していなかった部署に配属された。

という感じで同じ中高を卒業して大学でも同じコミュニティにいたとはいえ、私たちは大きく異なる生活をしていた。

けど、どこでもチヤホヤされるのはいつも彼女の方だった。ゼミが円滑になるよう影で支えてたのは私なのに。彼女はたまにある飲み会に参加してただけなのに。

部活でもかなりモテていたらしく、告白する人が絶えなかったそうだ。ゼミでも私が(恋愛感情ではなく)兄のように慕っている先輩は彼女のことが好きだったし、ゼミの同期からも人気だった。当の私はボスキャラとしていじられていたのに…私だって誰かに認められてチヤホヤされたい人生だったよ。

親がすごいから就活も苦しまずに良い所行けたんでしょ?お金あるから好きなもの買えて好きに海外行けるんでしょ?ゼミだってたまにしか来ないからレア感出そうとしてるだけでしょ?次女で甘え上手だから男には態度変えてるんでしょ?

実は見えないところで努力しているのかもしれない。もしかしたら要領が良いのかもしれない。だけど私は彼女が持つ全てをどうしても素直に受け取ることができなかった。周りからも同じ学校出身だから2人仲良いよね〜なんて言われてしまうので、思いとは裏腹にただそんな彼女を肯定するしかなかったのも悔しかった。

私は中学の頃から常に全力で頑張らないと何かを掴めなかった。というか頑張っても上手くいかないことの方が多かった、学業も恋愛も私生活も。だから欲しいと思ったものを得るために、現状を少しでも理想に近付けるために何事も泥臭く努力してきたと自負している。

性格やキャラが違うから比べること自体間違っているのは百も承知。けど、なんとなくスーッと全てを持っていく彼女に対して「生きてきた世界が違うんだからしょうがない」って思うのは性格が悪すぎるだろうか。結局そういった曲がった考えをしてる不器用な私がいけないのか。やっぱりただの嫉妬に過ぎないのか。

と書いてたらゼミの先輩から彼女と付き合ったという連絡が来た。ああ、ついに私のお兄ちゃん的存在まで取られてしまった。

まあ、あの子とは生きてきた世界が違うから、仕方ないよね。

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