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ひしむら(詩/猫/写真)
2015年10月10日 23:31
『期待をしなければ、恋愛は上手くいく。』 雑誌やインターネットやテレビや、あらゆるところで目にするこれ。 そんなことは分ってるんだよ。と、心の中で毒づいてしまうのは、私だけではないはずだ。「……なこと分ってるっつの。」 いや、声に出して毒づいてしまうのは。 彼とはかれこれ4年以上の仲だった。 優しく、一途で、頼りがいのある自慢の彼だった。 「彼のいいところなら、いくらだって言えま
2015年8月1日 02:31
重たい。掴めないし、目に見えない。それが何なのか自分でもよく分からない。もしかしたら、意味の無いものかもしれない、とも思う。ただ、ただ、重たい。それは時に、”幸せ”という感情に打ち消されたりもするが、大抵はこの身体のどこかに引っ掛かっている。どこに在るのか?そもそも、”在る”という表現が正しいのかどうかも、分からない。得体の知れない、その重たい何かは、少しずつ私を侵食しているように感じ
2015年7月8日 01:20
雨の打ちつける音がする。 その一定のノイズが段々と近付いてくる。脳が覚醒していくのを感じる。まだ眠っていたいが、きっともう無理だろう。 いつものように諦め、うっすらと瞼を開くが、暗くぼやけて何も見えない。 ぎゅ。 何かが左手を握った。はっとして横を向く。そうだ。今日は、いつもの朝とは違うのだ。 隣には、穏やかな表情で眠る彼女がいる。それだけで、心が安らいだ。いつの間にか、雨音が気になら
2015年4月13日 22:37
「ああ、僕の世界は今、とても霞んでいる!」「それはそうだろうよ。だって、君の眼鏡は頭の上にあるんだから。」「何もかもが何もかも分からない……!」「それはそうだろうよ。だって、君の視力は0.1にも満たないんだから。」「そう。僕の世界は今、右も左も、前も後ろも、上も下もない。 なんておかしな世界に迷い込んでしまったんだ……。」「まぁ、そう肩を落とすなよ。僕は君が羨ましいぜ?」「どうして?