したいことしかできない
私たち夫婦の仕事は年末みんなよりも遅く仕事納めをして、年始はみんなよりも早く仕事を始める。
お正月の喧騒が終わり落ち着くには寂しいほど静かな平日を迎えた。
この仕事はとにかく人がいないことには始まらない。
外は冷たい雨が一日中しとしと降っていて、歩く人の影すら見えなかった。
こんな日にはずっと逃げていた事務作業をするのがぴったりで、
適当に広げた資料に目を通しながら、事務作業なんかしていられなくなるぐらい急に忙しくなればいいのにと、私は心の中でずっと思っていた。
机に座って半日作業をしても、私はやっぱり暇だった。
帰らなければいけない時間が迫り、
作業に集中していないことを物語る仕上がりに肩を落とす。
散らかった机を片付けながら
「今日私、生産性なかった」
と夫に言うと
「不慣れな作業の練習をした日だと思えばいい」
と言った。
私を励ましながらも夫の手は明日以降の準備に忙しい。
夫は暇な日をきちんと正しく使えているのだ。
帰宅後、娘と夕食をとる。
結局私は"帰らなければいけない時間"を過ぎてしまい、お惣菜のフルコースのような食卓。
適当につけていたテレビから流れるCM。
姉妹が共に幼い頃から同じ夢を抱き、離れた場所で時にはぶつかり合い切磋琢磨しながら、帰省の際に子どもの頃の記憶を辿り、お互い愛情深い笑顔になるのを観て
少しだけ泣いた。
それが
作業の結果を出せなかったことの悔しさからなのか
正しく動きながらも愚痴る私を励ましてくれる夫の優しさになのか
お惣菜を娘が可愛らしい笑顔で美味しい〜と言ってくれたからなのか
自分がなんだかとても情けなくなったからなのか
お正月の賑わいが終わったのが寂しいからなのか
わからないけれど。
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