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教員の長時間労働は「遺伝」する?(上)

 先日、教職課程の授業で「教員の長時間労働」の問題について取り上げた。教育学部の1年生・約150名を対象にした授業でのことだ。

 はじめに、2017年に横浜市教育委員会と立教大学 中原淳研究室が共同で実施した「教員の『働き方』と『意識』に関する調査結果」の一部をスライドで紹介した。

4割以上が「過労死」レベル
周囲からは見えにくい「介護」の問題
教員が抱える「ストレス・健康不安」
長時間労働と「健康不安」の関係
「学ぶ時間」の不足とその影響
「やりがい」はあるが・・・
時間外業務は減らしたいが・・・
「罪悪感」や「ためらい」
これ以上は「減らせない」?
初任のころに出会った「先輩」の影響
あこがれの「熱血教師」?
「時間内?」「時間外?」

 ・・・その後は、

・自校の「働き方」や「意識」に関するデータを基にして、職員同士で対話を重ねながら「長時間労働の是正」を図っていく「サーベイ・フィードバック」の手法

・学校と教育委員会が一体となった業務改善の取組(夏季休業中の学校閉庁期間の設定、行事の見直し、留守番電話の導入、外部委託や外部人材の活用、ICTの活用による効率化など)の紹介

・それでも「長時間労働の是正」に向けた取組が道半ばであることと、その要因(教員の定数や給特法の問題等)

 などについて説明をするとともの、実際に学校現場で働いている現職教員たちの声やエピソードを紹介した。


 学生たちが授業後に書いた感想を読むと、次のような内容のものが多い。

・教員の長時間労働の問題については聞いていたが、改めてその実態を知って驚いた。

・教員の長時間労働が是正されないと、教材研究の時間を確保できなかったり「教員離れ」が起きたりするなど、教育の質が低下するおそれがある。

・自分自身がこういう働き方を続けていく自信はない。教員になるかどうか迷ってしまう。

・教員は魅力のある仕事だと思うが、その長時間労働については早く改善してほしい。

 ・・・しかし、中にはこんな感想もあった。

 私は今回の講義を受けて、自分だったら生徒を優先させる教員になりたいと思いました。
 私は高校で出会った先生に憧れて教員を目指しています。その先生は、いくら残業をしても毎日朝早く出勤し、いつも笑顔でいました。そんな先生に憧れて、自分は今、教員を志しています。
 教員になったら、生徒のためになることをやっていきたいです。辛くても、他の先生方と協力してやっていきたいです。

(つづく)

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