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【小説】ミキ

探偵助手をしている私が事務所のサイト内で趣味で運営している
【面白依頼コーナー】

そこに、様々な事情で当社のサイトに掲載することが出来なくなった事件を
ここで皆様にお話させて下さい。

■一章

依頼人「突然のお電話すいません」
私  「いえ、どういったご依頼でしょうか?」
依頼人「身辺調査…?なんですけど、あ、いや、でもな…」
私  「何か事情がおありですか?」
依頼人「いや、僕自身はよく知らない人なんで…」
私  「ご依頼を正式にお受けするかはこちらで判断しますので、依頼したい内容はお気軽に仰って下さい」
依頼人「そうですか?なら…」



依頼人はA県在住の大学生 伊藤孝一さん 20歳

伊藤「調べて欲しいのは、アイドルの子の事なんです」
私 「アイドル…ですか。身辺調査は基本的に身内の方でなければお受け出来ないんですが…」
伊藤「あ、いや僕ストーカーとかじゃないです!!」
私 「あ、はい」
伊藤「すいません。自分をストーカーと自覚してるストーカーなんて居ないですよね…
でも本当に違うんです。僕がそのアイドルのファンな訳ではないし、その子の事を知りたい訳でもないんです」
私 「…詳しくお伺いした方がよさそうですね」



伊藤「半年ほど前から、僕の友人がB県の地下アイドルにハマっていました。
今月、そのアイドルの20歳の誕生日だったそうで、ファンの間でその子の 誕生日の投稿をバズらせてあげようという企画が持ち上がったそうです。
そこでその友人は僕にもその投稿をRTしてくれないかと頼んできました。
別にお金がかかる事ではないので気軽に了承したんですが僕のRTを見た兄がそのアイドルについて詳しく聞いてきたんです」
私 「ファンになったと言う事ですか?」
伊藤「僕も最初は、早速友人の布教活動が成功したのかな?と面白がって居たんですが、兄の様子はどこか切羽詰まった雰囲気でした。詳しく話を聞くと   
全然笑えない内容だったんです」
私 「笑えない?」

伊藤「僕と兄は10才歳が離れているんですが、兄は僕と同じ年齢の10年ほど前まで、結構なアイドルオタクだったんです。
だから僕も兄がアイドルに興味を持っても最初は、昔を思い出したのかな?程度にしか思いませんでした。
ですが兄は信じられない事を言うんです『この子、俺が推してた子なんだ』と」
私 「え?お兄さんがアイドルファンをしていたのは10年前なんですよね?
その子は今年20歳なんですよね?当時10歳だったんですか?」
伊藤「いえ当時の兄と同じ歳の20歳だったそうです」
私 「似ているだけ…ではないんですか?」
伊藤「僕もそう思いました。今は加工だってあるしアイドルは髪型とかも似てるから、と。
すると兄は直ぐに自分の部屋からアルバムを持って来ました。中にはチェキが沢山入って居たのですが、全てその兄が10年前に推していたアイドル『如月ミキ』のものでした。その写真は僕の目から見ても、同一人物にしか見えませんでした。
そして、この友人が推してるアイドルの名前も『如月ミキ』なんです」
私 「10年間変わらぬ姿で居続けるアイドル…ですか」
伊藤「ね?気になるでしょう?」

私 「ファンのお友達は何て言ってるんですか?」
伊藤「アイツは半年前にそのアイドルがうちの町にイベントで来ていた時にたまたま見てファンになったのでファン歴は浅いしライブは本拠地のB県ばかりなのでファン活動と言ってもSNSにその子の画像を貼り付けて可愛い可愛い書き込みしているだけなので詳しい事は何も知りません」
私 「じゃあ例えば整形で若く見えているだけで実際は30歳とか…」
伊藤「あり得ないとは言い切れませんが、地下アイドルなんて儲かる訳でもないので高額なお金をかけて10年も容姿を維持するなら、もっと稼げる仕事に移行すると思います…。
それに、そのミキちゃんの引退の仕方が普通ではなかったんです」
私 「普通ではない?」
伊藤「失踪してるんです。20歳の誕生日の直前に」
私 「え⁉︎失踪ですか?」
伊藤「だから、正確に言うと引退はしていないんですけど…」
私 「確かに失踪したのに同じ名前でアイドルをしているのはおかしいですね」
伊藤「ですよね?」
私 「お兄さんは『ミキちゃん』が…その…失踪してからはどうしてたんですか?」
伊藤「同時期に両親が事故で亡くなったのもあって、俺を大学に通わせるために一生懸命働いてくれて、オタク趣味からは離れてしまいました。趣味といえばたまに近所の山に登りに行くくらいです」
私 「じゃあその後の事とか詳しくは知らないですよね」
伊藤「そう思います」
私 「10年前に失踪したアイドルが、別の土地で全く同じ容姿と名前でアイドルをしている。確かに不可解な話ですね」
伊藤「そうですよね?凄い気になってしまって。真相を知りたんですけど、何処に相談したら良いか分からなくて…」
私 「それでウチにご連絡下さったんですね。お友達はどうしてるんですか?ファンなんですよね?」
伊藤「勿論、真相を気にして色々調べてはくれてるんですが、他人の空似だと思っているらしくて俺ほど積極的ではありません」
私 「そうですか。お兄さんとは詳しく話していないんですか?」
伊藤「兄は写真を見せて来た時にはそっくりだと言っていたのに、その後「この子がミキな訳がない」と言ってこの話題には触れたがらなくて、詳しい事も何も聞けていないんです」

一通り事情を聞いて、伊藤さんに不審な点もなく協力しても問題がなさそうな内容なので
私は一つ提案をした

私 「そういう事でしたら、仕事として如月ミキさんの身辺調査をお受けする事は出来ないんですけど私個人の趣味で面白依頼のコーナーを作っているので、そこに掲載して良いのなら、無料でご相談に乗らせて下さい」
伊藤「掲載は構わないので、それならよろしくお願いします」

そうして私は自分の趣味のために『如月ミキ』ちゃんについて調べる事にした。


■二章

私はとりあえず自分の出来る範囲で調べてみる事にした。
まず『如月ミキ』の名前で検索すると、10年前の失踪の記事はすぐに見付かった。

如月ミキ失踪の記事


でもそれ以上は、当時のファンの憶測の書き込みが何件か見付かったくらいで有力な情報は無かった。
当時彼女が所属していたアイドルグループのメンバー紹介ページは出てきたが
顔がハッキリ写った写真は見つからなかった。

メンバー紹介ページ

最初の連絡から数日後、再び伊藤さんから連絡が来た。

伊藤「突然すいません。実はあのアイドル…如月ミキに関して進展がありました」
私 「本当ですか?」
伊藤「実は彼女が所属しているアイドルグループが、来月僕の住んでるA県でライブする事になったんです」
私 「え⁉︎」
伊藤「直接会えれば僕の疑問は解決すると思うんです!友達と一緒に行って来ようと思ってます!」
私 「それは確かに進展ですね!お兄さんは一緒に行ってくれるんですか?」
伊藤「いえ、兄は乗り気ではなくて…昨日の夜、友達からライブの話を聞いた時点で兄には一緒に行かないかと訊ねたんですが『あの子はミキじゃない』と言って取り合ってくれませんでした」
私 「一緒に行ってくれればその時点で本人かどうかすぐ分かるのに、残念ですね」
伊藤「確かにそうですけど、兄も複雑なんだと思います。過去とはいえ自分が人生で1番推してたアイドルが失踪した上にこんな訳の分からない再会の仕方をしたんですから」
私 「そうですね。本人だとしてもこんな再会の仕方は喜べないですよね」
伊藤「兄も余程ショックだったのか、いつもは気分転換に月一でしか行かない登山に今月はまた行ってたので…」
私 「毎月登ってるんですか?凄いですね」
伊藤「そうなんですよ。毎月15日は登山の日って決めてるみたいで、休みを取って行くんです」
私 「なんかどっかのスーパーの安売りの日みたいですね」
伊藤「ははっ確かに!」

そんな話で笑い合いながら、その日のやり取りは終わった。
後は伊藤さんがライブで彼女と直接会い、その報告を待つしかない。



ライブの日の夜
伊藤さんから興奮した様子で電話がかかって来た。

私 「どうでした?」
伊藤「凄い進展です!というか解決です!」
私 「え、本当ですか⁉︎」
伊藤「そっくりだった如月ミキは、兄が推してた如月ミキちゃんの妹でした!」

私は正直、想像していた範囲の展開で少しがっかりした気持ちになったが
伊藤さんは嬉々としてミキちゃんの10年間の物語を語った

伊藤「ミキちゃん達姉妹も僕達兄弟と同じで10才の歳の差があるそうです。
妹さんは自分が小学生の頃からお姉さんがアイドルとして活動している事を誇りに思って居たんですが
お姉さんが20歳になる頃、当時付き合っていた彼氏との間に子供が出来たそうです。
勿論アイドルなので恋愛自体、事務所は許していませんでした。
なのでお姉さんはこっそり産もうとしていたんですが結局事務所にバレてしまい、解雇になったそうです」
私 「でも公には失踪という事になってましたよね?捜索願いも出されて居たみたいですし」
伊藤「あ、それは僕も気になっていたので聞いたんですが、失踪自体は本当だそうです。
事務所から解雇を言い渡された後、ショックで飛び出して、数日行方が分からなくなって居て、その時に捜索願いが出されたそうです。
すぐ見付かったけれど、事務所がそれを利用してそのまま失踪した事にしたそうです」
私 「そうだったんですね。事務所の都合で嘘の引退理由をでっち上げられていたんですか…」
伊藤「酷い話ですけど、妊娠がファンにバレると事務所から損害賠償とか請求されかねないので、穏便に済ませる方法としては賢い選択だったのかもしれません」

伊藤「その後、妹さんはお姉さんと同じアイドルの道を目指して、お姉さんの意志を継いで同じ名前で活動して、お姉さんが果たせなかったメジャーデビューを目指しているそうです」
私 「今、お姉さんはどうされてるんですか?」
伊藤「その時の彼氏と結婚して、子供も産まれて幸せに暮らしているそうです」
私 「それは良かったですね。なんか全容を知ると不気味な話じゃなく普通の美談でしたね」
伊藤「そうなんですよね。妹さんもお姉さんのファンが自分に気付いてくれたのが嬉しいみたいで連絡先交換しちゃいました」
私 「え!アイドルなのに大丈夫なんですか?」
伊藤「本来はダメなんでしょうけど、彼女もお姉さんに「お姉ちゃんのファンの人が居たよ」と教えてあげたいと言ってて
僕も兄にこの事を教えてあげたかったので、お互い兄と姉をよ喜ばせたいという気持ちだったんだと思います」

私 「あ、でもお兄さんの様子はどうですか?やっぱりショックですよね」
伊藤「それが、全然ケロっとしてて。ミキちゃんの事を話しても「だからあれはミキじゃないって言ったろ」って、自分も最初はあんなに取り乱した癖に
最初から分かってたみたいな口ぶりで…」
私 「結婚していた事も平気なんですね」
伊藤「そうなんですよ。オタクの心理って不思議ですよね」

こうして、アイドル『如月ミキ』を巡る騒動は、ほっこりエピソードで幕を閉じるかと思われたが
その後の話は伊藤さんからの連絡ではなく、ニュースで知ることになる。




翌日、如月ミキは殺された。

■三章

如月ミキが殺されたニュース記事


その事件が朝のニュース流れた数分後、伊藤さんからすぐに連絡が来た。

伊藤「ニュース見ました?」
私 「はい。どういう事ですか?如月ミキはお姉さんの名前だから偽名にしても  
年齢おかしいですよね?ミキちゃんより年上で…」
伊藤「そうなんです。それでお姉さん…いや最初のミキちゃんが失踪した時の記事を見たら当時のグループ名が載っていたので検索したら、ファンが作ったメンバー紹介のホームページの画像が出て来たんですけど、そこに藤原ユイカの名前があるんです」
私 「え、じゃあ…」
伊藤「僕が会った如月ミキは、失踪した本物の如月ミキに成りすまして居たの元同じグループのメンバー。
妹という話は全部嘘だったんだと思います」
私 「そんな…」
伊藤「僕が見た失踪した本物の如月ミキちゃんは10年も前チェキだけなので本人に成りすますのは簡単でしょうね」
私 「実際に本人に会った事のあるお兄さんは居なかったですしね」
伊藤「居れば一瞬でバレたと思います。兄が本人じゃないと確信していたのも、SNSの画像をよく見ればファンには分かる違いがあったのかもしれません」
私 「でもそうなると、本物のミキちゃんは藤原ユイカの活動を知っているのでしょうか?私なら他人が自分そっくりに整形して同じ名前で活動してる  
のは気持ち悪いと思うんですけど…」
伊藤「普通ならそうですよね。許可は得ていて、整形を隠すために妹と嘘をついたのだとしても、全く同じ顔に整形される事を気持ち悪いと感じない方が  
違和感があります」
私 「じゃあ、無許可で堂々と活動していた事を考えると…」
伊藤「如月ミキはもう死んでいて、藤原ユイカはその事を知っていると考えるのが自然だと思います」
私 「普通に考えれば、犯人、ですよね」

返答は無かったが、無言の中に肯定している空気が漂っていた



私 「そういえば事件の記事だと『同じグループの女性から任意で事情聴取』とありますけど
この書き方ほぼ犯人と決めつけてる感じに見えますよね?」
伊藤「実は、その子に心当たりがあるんです」
私 「え⁉︎」
伊藤「昨日、話を聞く為に握手会の時にミキちゃんに「10年くらい前にA県でアイドルしていませんでしたか?」と聞いたんです。そしたらすぐハッとした顔をして、ライブの後ホールで待って居て下さいと言われました。
言われた通り待って居ると、他のお客さんが引けた後、ミキちゃんより先に他のアイドルの子達が出て来たんです。
その時1人の子、多分緑を担当してた子が、こちらに気付き近付いて来て『ミキ推し?あの子はヤバいから止めておいた方がいいよ』と馬鹿にしたような雰囲気で言って来たんです」
私 「それは…確かに怪しいですね」
伊藤「ですよね?でもなんだか調べ出す前より分からない事が増えた気がします…」
私 「如月ミキは藤原ユイカに殺されてて、藤原ユイカは別の人間に殺された…
そして藤原ユイカは少なくとも同じグループの子に
嫌われている様子だった。分かっているのはこれだけですもんね」





2日後
藤原ユイカと同じグループの神崎ユリアという子が逮捕されたとニュースで知った

神崎ユリア逮捕のニュース

伊藤「神崎ユリア、逮捕されましたね」
私 「伊藤さんが疑っていた通りでしたね。警察も最初からメンバーを疑ってたんでしょうね」
伊藤「そうみたいですね。最後に藤原ユイカと最後に会ったのもメンバーなので疑われるのは当然と言えば当然でしょうけど」
私 「犯行動機って何なんでしょう?」
伊藤「ネットの記事では『風俗で働いたお金で整形しているだけなのに、人気があったのが許せなかった』と供述しているそうです」
私 「風俗勤務というのは本当なんですか?」
伊藤「いえ。神崎は藤原ユイカが「写メ」という言葉を使うから、風俗でアルバイトをしていると勘違いしたそうです」
私 「写メ?ですか」
伊藤「ガラケーを使っていた世代の人は普通に使いますけど、風俗嬢が出勤などを知らせるものを「写メ日記」と呼ぶらしくて
若い子に風俗嬢が使う言葉として認識されているみたいです」
私 「そうなんですか」
伊藤「僕も神崎と同世代ですが年の離れた兄がいるので言葉を知っていますが、年上の人間と交友がなければ知らなくても仕方ないでしょう」
私 「私はお兄さんに世代が近いので、風俗用語になっている事の方に驚きました。
ではつまり、藤原ユイカは勘違いで殺されたという事ですよね?」
伊藤「そうですね。ただ、実際ユイカが整形をしていたのは事実なんで、その手術費用をどうやって稼いでいたのかは謎です」
私 「なんか、また謎が増えましたね…」


伊藤「そういえば、匿名の掲示板を見ると神崎ユリアの裏垢なんじゃないかと噂されてるSNSのアカウントがあるんです」
私 「裏垢、ですか」
伊藤「アクセスが集中して今は見れなくなっているんですが、掲示板に貼られていたスクリーンショットを事務所のアドレスに送りますね」
私 「はい。お願いします」

神崎ユリアのものとされてる裏垢1
神崎ユリアのものとされてる裏垢2
神崎ユリアのものとされてる裏垢3
神崎ユリアのものとされてる裏垢4

私 「これが、神崎ユリアの裏垢ですか」
伊藤「噂ですけどね。生誕祭の日付とかが一致しているらしいんですよ。だから、もしかして?程度の話ですけど」
私 「怪しいですけど、誕生日程度なら偶然はあり得ますよね」
伊藤「ですね。でも気になったので一応このSNSに貼られてる「ストーカーのブログ」はアドレスが載っていたので調べてみました」
私 「それは見れたんですね」
伊藤「はい。一応これも送りますね」

ストーカーのブログ1
ストーカーのブログ2
ストーカーのブログ3
ストーカーのブログ4

伊藤「もう何年も前から月一でしか更新されて居なくて、それも永遠「ミキに会ってきた」ばかりで意味が分からないです」
私 「このミキちゃんて藤原ユイカの事なんですよね?」
伊藤「そうだと思います」
私 「そう…ですか」
伊藤「どうかしましたか?」
私 「いえ、なんか違和感があって。もう少し考えてみますね」
伊藤「そうですか、よろしくお願いします」

■最終章
いくつか気付いた事があったので、伊藤さんに電話をしたが、何度かけても繋がらなかったので
メールを送っておいた。

【昨日送って頂いた神崎ユリアの裏垢とされてるアカウントの投稿をよく見たんですが
あれは本当に神崎ユリアのもなんでしょうか?
サイトの特性なのかスクリーンショットの範囲には何年の投稿かが載っていないので分からないのです。
でも投稿の中で「写メ」という言葉を普通に使っていて
写メという言葉が犯行動機の神崎ユリアのSNSとは思えないんです。

それにストーカーのブログの投稿日は2010年で10年前なんです。
もしかしてこれは神崎ユリアではなく、藤原ユイカのものではないでしょうか?
2人ともイニシャルがYなので、@y_000というアカウント名の説明も付きます。

そうなると【ストーカーのブログ】が指す「ミキ」は、藤原ユイカの事ではなく、本物のミキちゃんの事になるんです。

という事は、本物のミキちゃんはストーカーに殺されていて
藤原ユイカはそのストーカーにミキちゃんの家や情報を教える事と引き換えにストーカーから金銭を得ていたと考えられるのではないでしょうか?
そのお金で如月ミキそっくりに整形した。
だから藤原ユイカは如月ミキが殺されている事、その犯人がストーカーであることも知っていた。
こう考えれば辻馬が合うと思います。

もう少しこのストーカーについて調べてみようと思います。】

という内容メールを送った。

数時間後、伊藤さんからも電話ではなくメールが返って来た。

【ご親切に色々協力して頂いて恐縮ですが、もうこの事件に関わるのは辞めようと思います。
あの裏垢とされているものも、アイドルの生誕イベントは週末に合わせたりする事が多いので当日からズレる可能性の方が高いので
全く信憑性がありません。
憶測だけで実際に人が亡くなっている事件に首を突っ込み、面白おかしく騒ぐのは愚かだと思います。

ミキを殺害したのは藤原ユイカで
藤原ユイカを殺害したのは神崎ユリア

ミキを殺した犯人の藤原ユイカは死んで、その藤原ユイカを殺した犯人はもう捕まってるんだから
これ以上何も調べる必要はないと思います。

長々と相談に乗って頂きありがとうございました。
相談料はお支払いしますので、この件の掲載は取り止めて頂きたいです】

それ以来、伊藤さんからの連絡は途絶えた。
最初は面白依頼コーナーに投稿する許可を得ていたが、藤原ユイカが亡くなった事により、本当の事件になってしまったので
投稿する事が憚られる上に、伊藤さんと連絡が取れなくなったので改めて許可取る事も出来なくなったので
この出来事を投稿する事なく、お蔵入りすることになった。

結局、如月ミキちゃんはどうなったのか、未だ真相は分からないままだ。