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会社の癌

人が入ってはすぐ辞める企業の本当の癌とは何者なのか


私の会社には10年以上働いている御局様が居ました。

彼女は特に仕事が出来る訳でも、上司からの信頼が厚い訳でも無かったのですが
入れ替わりの激しい職場だったので1番古株というだけで新人教育係を任されていました。

私の教育係も彼女だったのですが、彼女の新人教育は
・説明をせずとにかくやらせる
・ミスをしたら怒鳴り散らす
・わざと小声や早口で喋ってメモを取らせない
全く仕事を覚えさせる気を感じませんでした。

私はさっさと他の先輩と仲良くなり「あの人全然仕事出来ないし、間違ってるから流して良いよ」とアドバイスをされたので、私はそれに従い地獄の新人期間を乗り切り、その人が教育係から外れてからは平穏は生活を送れていました。



それから1年後、新しい新入社員の男性が入って来た時も私の時と全く同じく
仕事を覚えられないように嫌がらせを続けたので
私はこの御局様に「どうしてちゃんと教えないのですか?」をオブラートに包み聞いてみました。
すると彼女は当然の様な口振りで「だって新人てどうせ使えないじゃん?結局辞めるならさっさと辞めて欲しいから嫌がらせしてるの」と答えました。

そして彼女は「新人は全員読解力がないから、説明するだけ無駄。だからも説明しない」とも言って居ました。
ですが、ここで問われてるのは新人の読解力ではなく、先輩の説明力の方です。
それなのに全てを相手のせいにしているのです。

そもそも仕事を教えて居ないのだから、使えなくて当たり前です。
教えてもいない、知らない事を最初から完璧に出来る天才としか呼びようのない人材が存在するのであれば
その人は雇用される側ではなくとっくに起業して社長になっているでしょう。

恐らく彼女も本気でそんな天才的な人材が欲しいと思っている訳では無いでしょう。
要は新人を勝手に自前の「振るい」にかけて、自分の権力誇示をしたいだけだったのだと思います。

そもそも会社の「振るい」というのは面接であって、決めるのは人事担当者です。
そこからお金をかけて雇い、使える人材に育てて、利益を産んで初めて利益を産まなかった研修期間の人件費の元が取れるというのに
彼女の勝手な「振るい」のせいで、研修期間を過ぎる前に皆辞めてしまうのは、会社に取って物凄く大きな損害でした。


ここからは私の憶測ですが、彼女の思惑はもっと違う所にもあったと思います。

前記した通り、彼女は優秀な人材ではありませんでした。
声が小さいので電話対応しただけでもクレームが来るような人物でしたし
退職理由も、自身が大きなミスをして、居づらくなった末の自主退職でした。

「自分より優秀な人が邪魔だった」
この気持ちが全く無かったとは思えません。

偏屈な人物な上にミスも多いので、上司からも疎まれて居ましたが、本人の希望と他に志願者が居ない事を理由に会社にとって最も大事な新人育成をこのような人物に任せていたのは、会社の責任も大きいです。

辞めていった新入社員達も、辞める職場の未来など案じてはくれない、どころか「こんな人間を信頼して新人教育を任せている企業」と判断するので、会社に不信感を抱いてしまって、彼女の問題点を指摘してくれる人は居ませんでした。


これはどんな企業にも言える事ですが、新人が育たない企業は衰退するしかありません。
新人育成を邪魔するお局様は、会社の一番の癌です。



■いい人が先に辞めてく原理
私がずっと通っていた美容室は、技術も高くて喋り過ぎなくて仕事が早い、そんな理想的な新人さんが入って来ても、次に予約する時指名しようとするともう居ないという事が立て続けに起きました。
どんどん人が減っていき、残ったのはずっと喋り続ける店長の男性と、同じくお喋り好きの長年いる女性、カットが下手で愛想が悪いのに言葉選びが絶妙に無礼な男性でした。
最終的には毎回無礼な男性がカットを担当するようになり、それが苦痛で私はその美容室を利用するのを辞めました。

何故、良い人は辞めていくのでしょう?



この美容室がそうだったかは分かりませんが、新入社員をストレス発散に使う人が多い職場はこの現象が起きやすいと思っています。

ストレス発散に新入社員虐めをする人にストレスの原因を聞くと、大抵「仕事が忙しい」「給料が低くて生活が安定しない」と答えます。
彼らは新入社員を虐めることで自分の首を締めている事に気付いて居ないのです。



新人を虐める事の一番の大罪は「好循環の阻害」です。

新人を虐めない場合
人件費の無駄が減る→更に人材を補充出来る→長く続けられる良い職場なら良い人材が増える→自分の仕事が楽になる→仕事のクオリティが上がる→業績が上がる→給料が増える→更に人を雇える→更に個人の仕事が楽になる

新人を虐めずしっかりと育てれば、長期的目線で見ると自分個人の金銭的利益に繋がるのです。



具体的な事例を飲食店で例えると

新人を虐める→どんどん人が辞めていく→シフトに沢山入らなきゃいけなくなる→忙しい週末絶対休めない→友達が居なくなる、趣味に時間を割けない、寝れない状態になる→ストレスが溜まる→職務にも支障→業績の悪化→給料の減少→閉店

新人を虐めない→自分以外も業務を任せられる人が出来る→ちゃんと休める→プライベート充実→ノーストレスで業績アップ→更に人を雇える→愛想が良い、顔が良い、人脈があるなどのSR従業員を引き当てる確率が上がる→更に業績アップ→給料アップ→高給により元三ツ星レストランシェフやインフルエンサーなどのSSR従業員を引ける確率アップ→業績アップ→ボーナスや休みが増える

新人虐めはそれだけ愚かな行いなのです。



人当たりがいい、愛想が良い、接しやすい「良い人」に限って辞めていく

こういう人は、その自称ストレスがある虐めをしている人物達にとって虐めやすい人材なのです。
「良い人」であるが故に厄介な性格の先輩とも円滑なコミュニケーションをとれてしまう
そうなると、他の人より文句を言いやすくなる。
距離が近くなる分厄介ごとを押し付けやすくなる。

厄介な人物とは出来るだけ距離を取り、相手からこちらも厄介だと思われていることが最大の防衛になるのです。


だから接客向きの性格の人から順に辞めていくことになるのです。
結果、本来接客をすべきでない無愛想、態度が悪い、不潔などの人材が接客に回され企業が衰退していきます。

やはりどう転んでも、新人を虐め辞めさせるのは、何も利益を産まないのです。