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6(よる)

好きなものについて少しずつ綴っていこう。

夜が好きだ。
都会の街灯だらけの汚い夜空も、田舎の美しい星空も等しく好き。あの吸い込まれるような、黒とも紺ともつかない色が目に優しく感じる。

生まれてすぐに大きい病気をした。それは現在でも原因の分からない病気だった。
今は落ち着いているが、幼少期は後遺症に苦しみ、成人するまでは年に数回大学病院で検査を受けていた。
後遺症の中で最も酷かったのが、目と皮膚の紫外線アレルギーだった。3歳までは太陽の光に当たってはいけないと医者から言われていたので、夜の公園で親と遊んでいた。だから幼い私にとっては昼よりも夜の方が楽しい時間だった。

今でも昼間の太陽と青空を見上げると、軽く目眩がする。もう病気は治っているのだけれど、幼い私の記憶の中に存在しない、あの眩しい光は世界から拒まれているような感覚に陥る。
私が常に前髪を長く伸ばして視界を遮っているのは、目に入る光と他者の視線を出来るだけ認識したくないから。
だから好きな音楽を聴きながら夜に独りで街を散歩するのが好きだ。寝静まった誰もいない街を歩くのは、太陽の光も他人の視線も気にする必要がないからだ。

このままずっと歩き続けて知らない街へ行ってしまいたい、といつも思うのだけれど体力の限界が来て帰宅する。本当に行きたい場所はいくら歩いても辿り着けない場所だから。

それではこの辺で。

本日の執筆BGM
依存症/椎名林檎

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