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2024年5月の読書記録&感想文(ネタバレあり)

5月はゴールデンウィークもあったので、ゴールデンウィーク期間中に大分本を読むことができました。

①黄土館の殺人 阿津川 辰海

前作前前作がおもしろかったので続きが読みたすぎて急いで続編のこちらを購入しました。
今回は地震×館です。

今回は前作には未登場だった飛鳥井さんの再登場が見どころかも
紅蓮館の後彼女がどうなってしまったか気になっていたんですよね

今回の話は、
地震によって道が分断されてしまったので、葛城サイドと主人公サイドで話が別れるんですよね。
葛城サイドは犯人視点で話が進みます。犯人が起こそうとしている事件の仕掛けを葛城が全て見抜いてくるので、ハラハラします。
犯人からしたら葛城の天才っぷりは怖いでしょうね。
犯人視点の金田一のゲームを思い出してしまいました。名探偵を相手にする犯人の心理と言ったら恐ろしい以外の何者でもない

一方で主人公サイドでは、途中まで葛城サイドで話が進んでいくので、何が起きているのかわからない不安とハラハラ感があります。

ある程度葛城サイドが進んだら主人公サイドに切り替わるので何が起こっていたか徐々にわかっていくのですが、飛鳥井さんがいることは安心と思いつつも相変わらず彼女は探偵業の足を洗っているので無気力。
紅蓮館で過去の事件の区切りはついているものの彼女が負った心の傷は大きいですね。気持ちの区切りはついていないようです。

こちらで起こる事件の方は相変わらずエグい殺され方。
今回はこの館でしか起こせないトリックだったのが印象的でした。

良かったのは飛鳥井さんの覚醒(本来の姿に戻ったと言ったほうがいいかも?)

憑依型の探偵さんなんですね。
犯人の思考をトレースして犯人を見つけるという手法。

葛城とは違うタイプの探偵ですが、推理力は天才と言われるだけあってピカイチ

心情的にも飛鳥井さんが吹っ切れて良かったなと思いました。

どうやら4部作らしいので、次の事件も楽しみですが、結構このシリーズ好きなので、もっと続いてほしいなというのが本音です。

②ヒポクラテスの誓い 中山 七里

BSで実写ドラマが放送されていたので、ドラマを見る前に読んでみたいと思って手に取りました。
今回は法医学、解剖がテーマということで、中山先生の作品はどの作品も面白いので新しいシリーズにワクワクです。

カエル男事件などで出てきた古手川と光崎先生が登場するのには驚きました。
中山先生の作品は、他シリーズで出てきた登場人物が結構出てくるんですね
ちょこちょこ事件の話を匂わせてくるのでニヤニヤしていましました。

主人公は新人の栂野。最初は光崎先生の考え方ややり方に反発していましたが、仕事や事件を通じて変わっていく姿が良かったです。最後はとても頼もしい。
短編集的な感じで話が進んでいくのかと思えば実は繋がっていたとわかった時には興奮しました。
こういう構成好きなんですよね。

ドラマ版は、光崎先生の役者さんが渋くて格好良かったです。
ラストの展開は違いましたが、大筋で原作通りでしたので概ね満足。
ドラマ1話ごとに原作の1話ずつ進むという構成

ただキャシーさんがいないのにはちょっと疑問です。それっぽい登場人物がいるのだからキャシーさん役とすればいいのになと思いました。

③切り裂きジャックの告白 中山 七里

こちらも中山先生の作品。
被害者の内臓が抜き去られているという凄惨な事件が続きます。こちらにも光崎先生がちょろっと出てくるので、ヒポクラテスを読んだ後だったこともありニヤッとしてしまいました。

1番怪しい人物だった人が只々息子を純粋に愛し、どんな姿になったとしても見守っている姿に母の愛情を感じて、事件自体は凄惨なものでしたが
ラストは切なさと暖かさを感じる素敵な結末だったと思います。

④容疑者Xの献身 東野 圭吾

東野圭吾先生の作品を読むのは3作目です。以前よりこちらの作品の評判は耳にしており(と言いつつも内容は全く知りませんでしたが)評判を聞く限り個人的に東野圭吾作品の代表作はこれなのかなと勝手にイメージしていた作品でもあります。

読もうと思ったきっかけはテレビで実写版の映画放送があったからでした。

私のこだわりとして、実写になった小説作品は必ず原作を読んでから映像化作品を見るというものがありまして、以前から興味を持っていたというのもあり実写版は録画した状態で原作を先に読むことにしました。
テレビドラマシリーズも全くみた事がなく、湯川先生役が福山雅治さんだということと「実に面白い」というセリフしか知らないという状況です。

読み終わって本当に感動しました。余韻がすごく、久しぶりにこれはヤバいこれは色んな人に知ってもらいたいと思った作品でした。人気の理由がわかる

まず犯人がわかった状態で話が進む倒叙式
私はガリレオシリーズを読んだことがないので、湯川先生がどのくらいの推理力なのかはわかりませんでしたが、その湯川が認める天才の石神との対決。

石神に感情移入をしまくってしまって、始終切なくて仕方なかったです。
お願い湯川さん事件を暴かないでくれとも思ってしまいました。
やったことはよくないことですが、自分を救ってくれた親子を救いたい一心で手を汚す。見返りは一切求めない。汚名が着せられることになってもそれでも構わないと言った石神の深い愛情に涙し、読了後の「献身」の意味に気づいた時にまた切なさが込み上げてきました。

こんなにも心を揺さぶられた作品は久しぶりです。
こうやって感想を書いている今でさえ切なさが込み上げてきています。

読了後すぐに実写をみました。
堤さんの演技が完璧すぎる。石神だと思いました。
登山のシーンはちょっと?でしたがそれ以外のシーンは割と原作に沿っていましたし

あんなにクールだった彼の最後の「なんで」という慟哭には心がギュッと締め付けられました。

そして流れる主題歌
歌詞の意味を考えて再び石神ー!!と思ってしまい切なくて切なくて仕方がない。

なんでもっと早く読まなかった自分と後悔しています。

⑤星降り山荘の殺人 倉知 淳

騙されました。
この一言
見事に騙されました。

事件自体は所謂クローズドサークルもの
各章の前に作者からの補足が毎回入ってくるのですが、こういった感じの書き方はあまり体験したことがなく不思議に思っていたのですが、
真相がわかった時にその補足文に見事に騙されていたことに気づいて悔しい〜!!見事に騙された!!と思いました。

そういう仕掛けだったとは・・
隅々まで気を抜いてはいけませんね

⑥螺旋館の殺人 折原 一

館ものかなーと思って購入しましたが、館ものではなかった笑
こういう題名の作品を書いた老作家さんと女性新人作家との盗作疑惑

二転三転するストーリーと仕掛けに騙され引き込まれ
ページ数は少ないながらも濃厚な作品でした。


5月はなかなかな冊数読むことができました!

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