太陽と月
太古の昔
太陽と月は同じ場所で同じ時間を過ごした
大地に生命が宿り
動物達は太陽の下で狩りをした
疲れた体は月の下で休めた
長い間 動物達はそうやって 太陽と月の間を
行ったり来たりして生活していた
しかし ある時 動物の中でも 知恵の有る
猿が言い出した
『月がどこかに行って太陽だけになったら木の実も今の倍実るんじゃないのかな』
『月と太陽が順に空に現れたら 僕達は今よりもっと楽になれるんじゃないのかな』
しばらくの間 動物達は 空を見上げて考えました
また 動物の中でも 知恵の有る
猿が何か思いついたようです
他の動物達が体を休めに月の下に行きました
猿だけは太陽の下に残り
こっそり太陽に言いました
『月は貴方の熱さが嫌いなんですよ
私達が月の下に行くと そうやって 貴方の悪口を言い出すんですよ
そして どこか 遠くに行ってくれないかなって』
太陽は何も言わず月の元を去りました
月は訳が分からず太陽を探しました
太陽は月から逃げます
月は太陽を探します
大地の動物達は豊かに暮らせるようになりましが
太陽の悲しみも月の悲しみも考えませんでした
太陽はだんだんと元気を無くしました
月もだんだんと元気を無くしました
とうとう
闇が動物達を包み込んでしまいました
猿は自分勝手な考えで
太陽と月を悲しませた事を知りました
猿は
太陽と月に手を合わせ
自分のした行いの許しをこいました
それから 長い年月が 経ちました
太陽の悲しみも月の悲しみも
少しづつ癒えていきました
闇は消えて無くなりました
それでも
太陽が月を思い出すと
空いっぱいに雨雲が広がり
雨が降り出します
月が太陽を思い出すと
空いっぱいに雲が広がり
星の光も月の明かりも消えてしまいます
そんな時 動物達は
そっと手を合わせ太陽と月の気持ちに寄り添りそうのでした
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