見出し画像

本の宣伝動画を見て思うこと

唐突ですが、最近はJared Diamondを読み直してます。そういえばこの人どんな風に喋るんだろう?と思いYoutubeで講演会などを見ていて感じたことを書いてみます。

いくつか見たなかで印象的だったのはこちらの動画(英語)
The Third Chimpanzee | Jared Diamond | Talks at Google (70min)

簡単な印象

2014年?にgoogleに呼ばれて講演をした動画です。おじいちゃんになって喋り方もすこしゆっくりになり、若かりし頃より無駄が省けてわかりやすくなってる印象です。

簡単な内容紹介

一応「第三のチンパンジー」の子供向けバージョンの宣伝ということになっています。初めに自分の経歴を説明し、いつから本を書くようになったのか、どういう人に向けて書いたのか、色んな所で講演をしたときの印象などが語られます。将来に向けてのメッセージで講演終了(ここまで30分)。残りは質疑応答40分で終わります。

印象に残ったこと

あれ?本の紹介ほとんどしてないよね。。って思うかもしれませんが、これが普通です(あとでその理由を書きます)。そのくせ質疑応答では、きちんとした質問や的確なコメント(本の内容をふまえたものから読んでないのに内容を理解しているものまで)が飛び交っており大変印象的でした。本人が冒頭で言っているように、IT弱者らしく説明もスライドを使わずにただ喋るだけなのですが、それで十分内容は伝わってるし、だからといって聴衆もえっ?て馬鹿にするような雰囲気もありませんでした。人類の最先端にいるgoogleのエンジニアの前でIT弱者のおっちゃんが人類の未来を語るという構図も見ていて楽しいものがありました。大事なのはそんな小さなことではないんだよという雰囲気を双方で作り出せていたように思います。
正直、書籍を読んでいるときは、延々と続く具体例(しかも、けっこうな割合で事実誤認と時代錯誤がある)に辟易していただけに意外でした。実際のおっちゃんはハッタリをあまり使わない紳士な方でした。知の巨人に対して、どの口が言ってんだ!って怒られそうですが・・

そもそも(私は)何を聞いているのか?

解説記事などを読む際に注目しているのは、どの部分を切り出すのかという部分です。ダントツで秀逸なのは岡田斗司夫大先生のジブリ映画解説なんですが、ここまで優れた解説をできる人は人類の中でもそうそういないのでそこまで期待はしておりません(特に衝撃だった回は千と千尋の神隠し編)。
自分が読んで分からなかったことを広い視野で解説してくれる記事とかは大変参考になります。気づかなかったことを気づかせてくれたりするとなお良いです。面白くはないけど、単純に私より知識のある人が追加の知識を被せてくれる記事も役には立ちます。読んだ気にさせてくれる上手な要約とかを見ると感心させられます。
とはいえ一番気にしてるのは、読んだ人がどのように作品を受けとめているのかになります。だから最悪なのはレジメみたいなやつ(時系列の羅列とか最悪)。

本の紹介なのに本の中身を紹介しないのはなぜ?

最後にこの問題を振り返ります。本の中身を逐一説明する行為は、読んだ人には二度言いになるし、読んでない人に1分で説明できる内容ならそもそも本にしてないから申し訳ないけど読んで下さい。と塩野七生先生風のコメントが結論になるわけです。
では何を紹介しているのかというと、その本の立ち位置になります。どういうジャンル・テーマをどういう切り口でどういう専門性をもって紹介しているかなどです。それが、皆さんの中にある知識なりとの間にconstellationできるかどうか(いい日本語がわからないんですけど、この単語の意味は”座標の配置”です。有機的なネットワークとかですかね)をご自分で確認してくださいという形式が一般的だと思います。
パラパラとめくって我々が得ている情報は(1)著者の文体が自分にあっているかどうか(2)説明の仕方がしっくりくるかどうか、そして大事なのが(3)著者さんが気合をいれて書いているかどうかになるのではないかしら。
えっ?そんなことわからないんだけど、という人は修行が足りないからです。”座標の配置”の例えに戻ると、今手にとっている新しい本が置かれるべき場所周辺の星(自分の中に蓄積されたもの)が少なすぎるから配置できないんです。こういう場合(パラパラ読んでピンとこない)は、諦めて他の本にあたるのがいいと思います。無理して活字を追っても「なんか、読んだけどよく分らんかった」っていう状態になってしまいます。

まとめ

なんで基本的に書評なり要約サイトを見ても、中身の一時情報にアクセスしない限り内容を理解することはできないので、こういう宣伝は「へ~面白そうだな、読んでみようかな?」って気分にさせれたら成功なんだと思います。
反対に「あっ、この本はこういう内容なんだ、もう読まなくていいね!」って人は、まぁなんていうか浅瀬で泳いでいて下さい・・と塩野七生さんならおっしゃるんじゃないかしら。
おわり。
この記事が何かのきっかけになれたら幸いです。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?