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今日会いに行きたい!気になる土偶#068東京国立博物館

「ぅわ、首ながい~!」
多くの人の第一印象ではないでしょうか。

高さ36.5 ㎝の大型土偶。
首が長いだけでなく、
体に比べて頭が大きく、腕はやけに短い、
全体的にアンバランス感が否めない土偶。

そして土偶らしからぬ「険しい顔」も珍しい。

長野県淵の上遺跡
東京国立博物館 蔵

長野県上田市の墓から見つかった、
弥生時代前期(紀元前4~3世紀)頃の
土偶形容器
(または容器形土偶)と呼ばれるものです。

「容器」と言うように、
その頭部には大きな穴があいています。

そしてその穴には、
「小さな子どもの骨」が納められていたと考えられています。

そう、これは「子ども用の骨壺」なのです。

この土偶形容器に骨は残っていませんでしたが、
同様の土偶形容器からは「小児の焼けた骨」
が見つかっています。

土偶形容器に納められた骨は、
いったん亡くなった人を埋葬し、骨になってから
再び取り出す再葬墓さいそうぼの形の一つ
であると考えられています。

再葬墓さいそうぼは、東日本の縄文時代の
終わり頃~弥生時代の始め頃に多くみられ、
壺棺再葬墓、あるいは弥生再葬墓と呼ばれます。

大人の骨は大きな壺に入れられ、その数個の
壺を一つの土坑(土を掘った墓)に納めることが
多かったようです。

大人の骨は大きな壺に、
子どもの骨だけがこのような土偶を模した容器に
納められたようです。
子どもを亡くした悲しみや、子どもへの愛情の
深さが表れているように感じますね。

意外なことにこの土偶は、
頭が大きく体が小さいアンバランスな体形から、
「小さな子ども」を模した土偶形容器ではないか
と考えられています。

縄文時代には盛んに作られていた土偶ですが、
弥生時代には殆ど作られなくなりました。
縄文時代の豊かな土偶の造形は受け継がれること
なく、消滅してしまったようです。

ただ、「子どもを思う親の気持ち」は
どんな時代になっても変わることなく、
それがこの土偶形容器に表されているように思えます。

最後までお読みくださり有難うございました☆彡

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