見出し画像

今日会いに行きたい!気になる土偶#086ひたちなか市埋蔵文化財調査センター

どこにもハートはありませんが…
わたしは『ハート形土偶』です。

今から約4000年前の縄文時代後期

『ハート形土偶』
愛称の由来は、ハート形の顔を持っていること。
約4000年前の東北地方の南部・福島県周辺を中心に多く出現した土偶です。

ハート形の顔、細長く角ばった胴、肩から垂直に下ろした短い腕、そして大きく開きしっかりと地面を踏みしめる脚。
ハート♡という言葉のイメージも相まって、可愛いらしいイメージです。

その『ハート形土偶』が関東地方へ伝わり、ここ茨城県で作られたのが今日の土偶です。

やや上向きについた薄く作られた顔は…ハート形ではなく、ちょっととぼけたようにも見える愛嬌のある顔になっています。

高さ16㎝/左腕は欠けています。

本来ハート形であったはずの顔は随分と丸くなり、目や口はしょぼしょぼと…。

☟群馬県のハート形土偶と比べても、かなりの違いが!

このように顔の印象はかなり変わりましたが、体の形は殆ど変わっていないようです。
それには、この土偶に込められた「祈り」にも関係があるのかもしれません。

他の多くの土偶は大きな乳房やふくよかな体つきで、女性を模していると考えられています。
ところが『ハート形土偶』は、小さな乳房にスリムな胴体で女性的な雰囲気は感じられません。そうかといって、男性でもないようです。

女性らしい土偶は、出産や子どもの成長など「生命にかかわる」祈りの道具であったと考えられています。
性別を超えた造形の『ハート形土偶』には、どのような祈りが託されていたのでしょうか。

ハートが無くなっても『ハート形土偶』。
本来持っている「祈り」の意味には変わりがないのかもしれません。


参考資料 土偶美術館 小川忠博 / 原田昌幸

©2024 のんてり
<写真&文章は著作権によって守られています>

最後までお読みくださり有難うございました☆彡

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?