今日会いに行きたい!気になる土偶#026南アルプス市 ふるさと文化伝承館
「よーく見てごらん、見えないところまで全部見よう」
高校時代、初めてのデッサン教室で先生から言われた言葉です。
赤と黄色のリンゴを目の前に、どうしたら色の違いを出せるのか、戸惑っている私にかけられた言葉。
リンゴが出回る季節になると必ず思い出す光景です。
とにかく「見る」ということの大切さ、
そうしていると自ずとそのモノが理解できてくる、ということを教わりました。
ひたすらに目を凝らしてデッサンに望む、
ちょうどこんな目をした私がいたかもしれません。
かなり個性的な顔立ち、
しかも目玉のある土偶です。
土偶の目…と言えば、すぐに思いだすのは遮光器土偶の大きな目でしょうか。
線で描かれたような目や、穴を開けたような目など、実に様々な表現がありますが、目玉まで表現されている土偶はとても少ないです。
初期の土偶は〝顔そのもの〟を表現しませんでしたが、それはヒト形になるのを避ける為であったという説があります。
〝土偶は精霊であって人間ではない〟という意志を表していたと言うのです。
それが段々と顔が作られ、目、鼻、口も描かれ、特にこの土偶の生まれた中部高地では、縄文時代中期頃から顔の表現に様々な工夫が見られるようになりました。
その理由は…残念ながら分かっていません。
このところ社会のあちらこちらで、よ~く見なくてはいけないことが、どんどん増えているような気がします。
もっと大きな目で、たくさんの目で見なくてはいけないのかもしれません。
あなたは、この土偶の目をじっと見られますか?
と、問いたい人がたくさんいます。
お読みいただき有難うございました。
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