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今日会いに行きたい!気になる土偶#095秋田県立博物館

笑みを浮かべて寝そべる土偶?
よくよく見ると…顔がついたかなり風変わりな形の縄文土器です。

今から約4000年前 縄文時代後期

人面付環状注口土器じんめんつきかんじょうちゅうこうどき

まるでドーナツのように環状なっている土器の端に、土偶のような人面が付いている珍しい土器です。
土器の全体は空洞で、頭の部分は液体を入れる注ぎ口になっているようです。この時代に多く作られた注口土器と呼ばれるものです。

全長は15.5㎝、高さは8.5㎝、
全体にぽつぽつと付いた小さな瘤のようなものが、この時期の土器の特徴を表しています。

土器の表面は艶々と黒光りしていますが、これは遺跡近くで産出する天然のアスファルトを塗ったのではないかと考えられています。

縄文時代、アスファルトは彩色や接着剤として、土器や土偶、釣り具などの道具類へと広く使われていました。

上から見ると、顔の部分が見事に空洞になっているのが分かります。
珍しい形に加えこのような顔が付いていることから、儀式などで特別な使い方がされていたと考えられるようです。

顔つきを見ると、国宝の中空土偶にも似ているように見えますね。
ちょっと笑みを浮かべているような柔和な顔。穏やかで豊かな生活があったことが想像できるようです。

この土器は江戸時代、天保14年(1843)の正月に発見されたと伝えられています。
明治に入り、放浪しながら考古物の絵を描いた蓑虫山人みのむしさんじんらにスケッチされ広く知られるようになりましたが、昭和に入ってから行方が分からなくなっていました。
再び表れたのは昭和50年、民家の仏様の裏から出てきたという、何とも意味ありげな経歴を持っています。

この土器が出土した遺跡は開墾により既に消滅してしまいました。
環状の形に、土偶のような大きな顔が付くという特異な土器。
何のために作られて、どのように使われたのかは、未だに分かっていません。

今にも語りだしそうな親しみのある笑顔から、私たちは何を想像できるでしょうか。


*参考資料
秋田県博物館リーフレット

*タイトルは〝土偶〟ですが、
このようなカオがついた土器や、土製品なども紹介しています。

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