見出し画像

今日会いに行きたい!気になる土偶#052御所野縄文博物館

〝鼻が曲がる〟とは、悪臭を感じた時に使う表現ですが…
この曲がり具合を見ると、かなり強烈な臭いを感じた!と言えそうですね。

今日の主人公は〝鼻が極端に左に曲がっている土面〟です。
このような表現はなぜ生まれたのか、何に使われていたのかをみていきましょう。

「鼻曲り土面」と呼ばれる、今から約3000年前に岩手県蒔前まくまえ遺跡から出土した土のお面。
大きく左に曲がった鼻とゆがんだ眼孔と眉、一度見たら忘れられない表情ですね。

縦18.0cm、幅11.3cm、厚さ3.3cm
縄文時代晩期

よく見ると曲がった鼻の下端には〝鼻孔〟も作られています。(写真では分かりづらいですが)

普通のお面のように左右に紐を通す穴がありますが、左側の穴は貫通しているものの、右側の穴は貫通しておらず紐を通すことができない状態です。
顔に付けるための紐の穴ではない?ということでしょうか。

額などに僅かに赤色の漆と思われる跡もあることから、祭祀などで使われた特別なお面であったとようです。

安定した縄文時代の暮らしを可能にしたことの1つに、人々をまとめ導く統率者として「シャーマン」の存在があったと考えられています。
祭祀の時に、神霊や精霊、死霊などと交信したシャーマンがトランス状態になった…土面の歪んだ顔はそれを表しているとも考えられるようです。

実はこの鼻曲り土面と同じような土面が、青森・岩手の5つに遺跡からそれぞれ1点づつ出土しているそうです。
それも5点のうち4点の鼻が「左」曲がりであるということです。

「左」に曲がることにも何か意味が⁈それとも偶然なのでしょうか。

さらに、この「鼻曲り土面」が生まれるもっと前の時代・から、東日本を中心に仮面をつけた土偶が出土しています。その関係性も気になるところです。

その一つが、この国宝 「仮面の女神」
一見、逆三角形の顔の土偶のようですが…

今から約5000年前縄文時代中期
長野県 中ッ原遺跡出土 / 茅野市尖石縄文考古館

横から見ると、仮面のようなものを付けているのが分かります。
紐の様なもので顔に装着している表現もされています。

この土偶はお墓だと思われる場所から出土し、「シャーマン」の姿を表していると考えられています。

高さ34㎝ / 縄文時代後期

これらの土偶や土面は、シャーマンの存在と呪術行為が縄文時代に重要であったことを示しているようにも思えてきます。

「鼻曲り土面」はどこかユーモラス⁉にも見えますが、
こちらはちょっと怖い!
博物館で買った「鼻曲り土面」クッキー。

ホンモノ以上に何か迫ってくるものを感じてしまいます。

参考図書
縄文土偶ガイドブック 三上徹也著 新泉社

最後までお読みくださり有難うございました☆彡

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?