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【経済ニュース振り返り】11/28~12/2

注目経済指標

・米国 10月 中古住宅販売成約指数
米10月中古住宅販売成約指数は前月比‐4.6%と、5カ月連続のマイナスながら9月-8.7%から予想以上に改善した。9月分も-10.2%から上方修正された。

・米国 11月 製造業PMI
米11月製造業PMI速報値は47.6と、10月50.4から予想外の50割れに落ち込みリセッション域。パンデミックによる経済封鎖直後の20年5月来で最低となった。11月サービス業PMI速報値も46.1と、5カ月連続の50割れで予想も下回り8月来で最低。11月総合PMI速報値も46.3と5カ月連続の50割れ、10月48.2から予想以上に低下した。

・米国 11月 ISM製造業景気指数
米供給管理協会(ISM)が1日発表した11月の製造業総合指数(NMI)は49.0となり、2020年5月以来初めて50を下回り、約2年半ぶりの低水準となった。10月は50.2だった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げにより財(モノ)の需要が冷え込んだ。また、投入価格指数の低下が継続しており、インフレ率が低下傾向を続ける可能性があるとの見方を支えた。

来週の注目経済指標

・11月 ISM非製造業景気指数

・日本 第3四半期 GDP

原油価格の動向

週間で約4ドルの上昇。
今週は中国主要2都市のコロナ規制緩和を背景に原油需要が回復するという期待感と、ロシア産石油価格の上限設定についての情報で原油価格が変動していました。
81ドル台で設定されている抵抗線をブレイクできるか注目です。

・気になった原油関連記事
EU(欧州連合)は、ロシア産原油の輸入価格に1バレル=60ドルの上限を設けることを正式に承認する見通しとなった。承認を保留していたポーランドのアンジェイ・サドスEU大使が賛成の意思を表明した。ポーランドは、ロシアの戦費調達を制限するため上限を市場価格以下に保つ調整メカニズムを検討するよう求めていた。サドス氏によると、最終合意では、価格上限を市場価格より少なくとも5%低く保つことになる。ポーランドの承認を受けてEUは、加盟27カ国全てがこの協定を正式に承認するため書面による手続きを開始した。ロシア産原油の禁輸を開始する前日の4日に正式発表される見通し。フォンデアライエン欧州委員長は、市場の動きに対応できるように60ドルの上限の調整は可能とした上で、「世界のエネルギー市場を安定させる」という見通しを示した。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は3日、主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)、オーストラリアが合意したロシア産原油の上限価格を1バレル=60ドルとする追加制裁について「受け入れない」と表明し、対応策を検討していると述べた。国営タス通信が報じた。ロシアはこれまで、上限価格を導入する国には石油を供給しないと繰り返し述べてきた。ロシアのミハイル・ウリヤノフ在ウィーン国際機関常駐代表は3日、「今年から欧州はロシアの石油なしで生活することになる」と交流サイトに投稿し、こうした方針を改めて示した。G7の上限価格導入は、EU域外国がロシア産原油の輸入を海上輸送で継続することを認めているが、価格が上限を下回っていない限り、海運や保険、再保険会社がロシア産原油の貨物を扱うことを禁止するもの。このため、協定に参加していない国でも上限を超える価格のロシア産原油を出荷するのは難しくなる可能性がある。

米国債10年利回りの動向

週間で約0.1ポイントの減少。
1日のニューヨーク金融・債券市場では、米指標でインフレに対する警戒感が和らぐ中、長期金利は低下した。長期金利の指標である10年物米国債利回り(終盤)は前日比0.11%ポイント低下の3.50%。朝方発表された10月の個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比6.0%上昇と、伸び率は前月から減速。前月比のコア指数の伸びは市場予想を下回った。同統計発表後に債券買いが優勢となったが、10年物は前日の利回り急低下の反動もあり、買い一巡後はいったん売りに押された。
その後明らかにされた11月の米サプライ管理協会(ISM)製造業購買担当者景況指数(PMI)は、景況拡大と縮小の分岐点となる50を2年半ぶりに下回る内容だった。相場はその後もみ合い商状となったが、取引中盤以降の10年物利回りは低下基調を維持。翌日公表される注目の米雇用統計を控えているにもかかわらず、終盤まで買い優勢の展開が続いた。

米ドルの為替動向

今週のドル円相場(USDJPY)は、週初139.35で寄り付いた後、(1)ブラックフライデーの好調な結果や、(2)中国政府による厳格なコロナ規制の緩和期待、(3)上記1、2を背景としたリスク選好ムード(クロス円上昇→ドル円連れ高)、(4)セントルイス連銀ブラード総裁による「市場はFOMCがより積極的になる可能性があることを過小評価」「2024年に入っても利上げを継続する可能性」「予測に基づけば、FF金利誘導目標を少なくとも4.9%まで引き上げる必要性がありそうだ」とのタカ派的な発言、(5)ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「中銀はインフレ抑制の為に一段の行動を取る必要がある」「追加利上げは経済のバランス回復に役立つ」とのタカ派的な発言、(6)リッチモンド連銀バーキン総裁による「インフレが高止まりするならばFRBは利上げを続ける必要性がある」とのタカ派的な発言、(7)米7ー9月期実質GDP改定値(結果+2.9%、予想+2.7%、※前期比年率)の市場予想を上回る結果、(8)米長期金利の急上昇(米10年債利回りは3.79%へ急上昇)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値139.90まで急伸しました。しかし、心理的節目140.00をバックに伸び悩むと、(9)パウエルFRB議長による「利上げペースを緩やかにすることは理にかなっており、その時期は早ければ12月FOMCで訪れるかも知れない」「インフレの早期鎮静化のためだけを以って一段の大幅利上げを実施し経済を破綻させることはしない」とのハト派的な発言や、(10)ベージュブックにおける「物価上昇ペースは全体的にみて減速した」との見解発表、(11)上記9、10を背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは3.79%から3.50%へ急低下)、(12)米11月ADP雇用統計(結果+12.7万人、予想+20.0万人)の冴えない結果、(13)米10月PCEコアデフレータ(結果0.2%。予想0.4%、前回0.5%、※前月比)の伸び率鈍化、(14)米11月ISM製造業景況指数(結果49.0、予想49.7、前回50.2)の市場予想を下回る結果、(15)ボウマンFRB理事による「利上げペース減速は適切」とのハト派的な発言、(16)ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「インフレの歓迎すべき緩和の兆しが見られる」とのハト派的な発言、(17)日銀田村審議委員による「しかるべきタイミングで金融政策の枠組みや物価目標のあり方を含めて点検・検証を行うことが適当だ」とのタカ派的な発言、(18)日銀野口審議委員による「物価が想定以上に上振れるなどした場合には予防的に金融緩和の修正が必要になる可能性がある」とのタカ派的な発言、(19)上記17、18を背景とした円キャリートレードの逆流懸念が重石となり、週末にかけて、8/16以来、約3カ月半ぶり安値となる133.65まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(20)米11月非農業部門雇用者数(結果26.3万人、予想20.2万人)の市場予想を上回る結果や、(21)米11月平均時給(結果5.1%、予想4.7%、※前年比)の伸び率昂進、(22)上記20、21を背景としたショートカバー誘発が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間12/3午前3時00分現在)では、134.60前後で推移しております。

ドル円は10/21に記録した約32年ぶり高値151.95(1990年7月以来の高値圏)をトップに反落に転じると、今週末にかけて、8/16以来、約3ヵ月半ぶり安値となる133.65まで急落しました。この間、ローソク足が主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、一目均衡表雲上限や雲下限、21日移動平均線や90日移動平均線、200日移動平均線など)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの急速な悪化が確認されます。ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米利上げペースの鈍化観測(パウエルFRB議長によるサプライズ的なハト派発言をきっかけに市場では米利上げペース鈍化を一段と織り込む動きが活発化→米長期金利急低下→対主要通貨でのドル売り加速)や、(2)日銀による金融緩和の修正観測(日銀政策委員による相次ぐタカ派発言→ポスト黒田体制下での金融緩和脱却の思惑浮上)、(3)上記1、2を背景とした日米名目金利差縮小観測(円キャリートレードの逆流を巡る警戒感)、(4)米議会の「ねじれ化」に伴うドル高政策の修正期待など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は米国がブラックアウト期間(FRBメンバーが金融政策に関する発言を手控える期間)に突入する他、米経済指標も、米11月ISM非製造業景況指数、米11月生産者物価指数、米12月ミシガン大消費者信頼感指数以外に目立ったイベントが予定されていないため、基本的には思惑主導の上下動(ファクトに基づかない観測報道のみで上下する相場展開)が予測されます。特にブラックアウト期間中のFRB代弁者として有名になりつつあるWSJのニック記者のreportやtweetには警戒が必要でしょう。また、上述の通り、最近は日銀政策委員の発言がマーケットに動意をもたらす傾向にあるため、12/7に予定されている中村日銀審議委員の発言にも念のため注意が必要です。

NYダウの動向

週間で約500ドルの上昇。
経済指標の落ち込みにより、政策金利緩和の期待感が強まり、債券が下がっている所で、米国株は買われる形になりました。

日経平均の動向

週間で約500円の減少。
1日の米株式市場が下落したことを受け、日経平均も減少。
2日の米株式市場は上昇したので、週明けは陽線で始まりそうです。

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